テレビばかり見てると、子どもは興奮して寝つけなくなる気がする。「もう寝なさい」と言うと、子どもは1つだけでも親に甘えたくて、何か軽いワガママを言う。そんな時はだいたい、「絵本だったら好きなの1冊だけ選ぶから、選びな」とか言うと、ちょっと納得したりする。(うまくいかないことも多いけど)
子どもが読んでほしい本を読んであげるのもいいけど、たまには「今日はパパが読みたい本を読むからね」とか言ってもいい。僕が読みながら、思わず涙ぐんでしまった感動の3作を紹介したい。
「ラチとらいおん」

- 作者: マレーク・ベロニカ,とくながやすもと
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1965/07/14
- メディア: 単行本
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「トイ・ストーリー3」は、親が見ると泣けてしまう。子どものことが大好きで、いつも一緒に遊んできたオモチャたち。でも、子どもは大きくなればオモチャなんて要らなくなる。子どもが成長するとはつまり、親の庇護から巣立っていくことだ。オモチャの視点から子どもの成長を描いたら、親にとっては涙にしかならない。
「ラチとらいおん」も、そんな話。子どもたち2人を両ひざに抱いて、この話を読んだ。僕は、らいおんがラチに書いた手紙を読むような気持ちで、「これからもいろんな絵本をたくさん読んでやろう」と静かに心に誓ったものだ。
「フレデリックーちょっとかわったのねずみのはなし」
僕は20代の頃、演劇に夢中になった類の人間だから、今でも心の底では、ひそかにこう信じてる。「冬の寂しさを乗り越えるのに、一番大事なのは詩なんだ」「役立たずに見える道化が、本当は一番尊いんだ」
でも、もちろん子どもたちにはそんなことは言ったことがない。それは、親が教えるものじゃなくて、子どもが親の思いとは裏腹に見つける哲学だと思うからだ。
だから僕は本を読みながら、ちょっと祈るだけだ。「本当は、本当の本当の本当は、心が純粋ならそれだけで幸せなのかもしれないよ。そんな風に、思える時が少しでもあればいいね」と。
「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」

はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー (世界傑作絵本シリーズ)
- 作者: ばーじにあ・りー・ばーとん,いしいももこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1978/03/20
- メディア: 単行本
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バージニア・リー・バートンの絵本では、「ちいさいおうち」が、僕自身子どもの頃大好きだった。母に読んでもらわなくなっても、1人で何度もページをめくった記憶がある。ひょっとしたら、無表情なキャラクター(「トーマス」や「アンパンマン」のようにキャラクター化して顔を描くのではないキャラクター)が、一番表情が豊かなのではないだろうか? 「ちいさいおうち」はページごとに、泣いてるようにも笑ってるようにも見えて、惹きつけられた。
「けいてぃー」も同じだ。黙って涼しげに働く除雪車のけいてぃー。僕は読みながら想像した。「きっと、アルカイックな笑みの裏では、歯を食いしばって、働いてるんだろう。下を向いて深く息を吐くときもあるだろう。心は静かな満足で満たされてるんだろうな」
すっと、テンポを変えずに働き続けるけいてぃーに、深く憧れてしまって、ちょっと涙ぐんだ。
(内容を知らずに絵本を読んでいて、子供のために読んでいて、ときには面倒で早口で読んだりもするのに、時々不意に何かが琴線に触れてしまうこと、ありますよね? なので、なるべくネタばれしないように書いてみました。図書館で見つけたりしたら、手に取ってみてください!)
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