鯖缶@3rd&forever

2児(娘7歳、息子5歳)の父の雑記ブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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「かぐや様は告らせたい」というタイトルの情報量がすごい件

 

 

僕は駆け出しの映像翻訳者(字幕の原稿を作る人)なので、「短い文章にどれだけの情報を詰め込めるか」について考えるのが三度の飯より好きで、好きすぎて考えるだけで逆に吐き気がするほどだ。


「かぐや様は告らせたい」。このタイトルはすごい。この10文字の威力について考えてみた。

 

 

かぐや様は告らせたい?天才たちの恋愛頭脳戦? 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

 (↑Amazonのリンクです。週間ヤングジャンプ連載のマンガです。2019年1月からアニメ化もされているようです。僕はまだ見ていません)


①「かぐや」がすごい


タイトルに主人公のキャラ名を入れる作品は、古今東西を限らずたくさんある。


「カードキャプターさくら」「最強伝説黒沢」「ちびまる子ちゃん」「ラーメン大好き小泉さん」「名探偵コナン」「からかい上手の高木さん」「サザエさん」「魔法少女まどか☆マギカ」「ジョジョの奇妙な冒険」「はじめの一歩」「NARUTO」・・・


今ちょっと調べただけでもいくらでも出てくる。思うに、主人公の名前の「強さ(キャラ立ち感)」は、作品の世界観のコアになりうるような気がする。


タイトルに名前は入ってないけど、「ドラゴンボール」を例に挙げてみる。「悟空」は、西遊記から借りた名前であると同時に、誰でも呼びやすく、覚えやすく、まるでアニメでの世代を超えたヒットが最初から約束されたような名前ではないか。「SLUMDUNK」の「桜木花道」と「流川楓」の名前としての対比も、堂々としてすごくいい。


逆に、「最強伝説黒沢」「からかい上手の高木さん」は、「平凡な名字の人物をあえて主人公にしてます」という潔いプレゼンテーションを感じられる(高木さんの主人公はからかわれてる男の子のほうでしょうか?)。「ラーメン大好き小泉さん」も油断ならない。「ラーメン大好き小池さん(藤子不二雄作品の謎のサブキャラ)」を踏まえての「小泉さん」。高校1年生女子キャラの名字として「小泉」はしっくりくるし、それを「さん」付けするのもいい。謎の人物を外側からの目線で「小泉さん」と呼んでいるのも演出上手(※僕はこのマンガ未読なのでタイトルを味わってるだけです。的外れすみません)。


さて、そんな中でも「かぐや」という名前の戦闘力は、なかなかにすごいのではないだろうか。

 

・名前としての知名度は抜群
・古典から取ってるので下品になりにくい
・口に出すのがちょっと恥ずかしい
・でも一度「かぐや様」というと、また言いたくなる中毒性
・「美女で箱入り娘」なんだろうけど、どんな性格でも設定でも合いそう


そう思うと、「かぐや」は、ヒロインとしてかなり最強に近い名前ではないか。


②「様」がすごい

さて、「様」である。これもすごい。


「様」という尊称自体が、「少年主人と執事」とか、「魔法使いとその使い魔」とか、「女王様とその奴隷」とかをイメージさせて、「ある種の出来上がった世界観を前提として描かれる関係」を否応なしにイメージさせるではないか。


「〇〇様」という「違和感としっくり感が同時に襲ってくる感じ」はなかなか中毒性が高い気がする。もちろん、だからこそあまり好きなタイトルじゃない人も多いと思う(実際のところ僕も好きか嫌いかで言えば好きじゃない)。だけど、好きか嫌いかを迫ってきている時点で、タイトルとしては成功してるんじゃないだろうか。


映画「アメリ」の話。この映画の原題は「Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain」 で「アメリ・プーランの素晴らしい運命」の意味らしいけど、僕は邦題の「アメリ」だけの方がいいタイトルだと思う(英題も「AMELIE」のようです)。


「アメリ・プーランの素晴らしい運命」だと三人称小説を想起させるような完成した静的な状態を感じるけど、それに対して「アメリ」には、「ファーストネームを呼び捨てで呼んで」という馴れ馴れしさがある。「この不思議ちゃんワールドにあなたも味方になって参加して」と、好きか嫌いかを迫ってくるような迫力がある。


ここの「様」も似た効果がある気がする。そして、「かぐや」との相性がものすごい。例えば、「アメリ様」はダメだと思う。気味が悪いだけで意味不明。だけど、「かぐや様」はどうだ。しっくり感も意外性も両方ある。

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③「告らせたい」がすごい

さて、ようやくタイトルの後半部分だ。後半も一文字単位で想像力を喚起させるパワーがすごいので味わっていきたい。


「告らせる」って、シンプルに意味が伝わるけど実際に何を言ってるのか瞬時に説明できないような「だまし絵」感がある(ありませんか)?


「告白する」をカジュアルに略した「告る」という言葉自体が、耳で聞く分にはそんなに違和感を感じないんだけど、字で見るとやっぱりちょっと違和感がある。「コクる」というチャラいワードに、「告」という字の硬いイメージが組み合わさった複雑な味わいがある。「告」には、漢文的というか、明治文学的というか、「君ニ愛ヲ告ゲル」というか、そういうイメージがあって、「コクる」と組み合わさると、ちょっとトリックアートのような浮遊感がある気がする。


その上で、「告る」というワードに、使役の助動詞の「す」を入れて「告らす」としているのが、ワードの強さを倍増させている。「コクる」という口語ワードが「告」という感じと「使役」という文法によって「告らせる」と書かれた時に感じる落ち着かなさ。この落ち着かなさは、タイトルとしては大成功だと思う。

 

「たい」で終わるのもいい。「告らせ」の落ち着かなさを「たい」で受け止めて、バランスを整えつつ、現在進行形な願望であることを示して本編への期待につなげた見事な着地っぽさがある。

 

④中身の想像のできなさがすごい


このタイトルが持つ響きの面白さをまとめると、

 

・おそらくヒロインの名前と思われる「かぐや様」というワードのイメージしやすさと正解のわからなさ。

・「告らせたい」という響きの、不可思議感。「謝らせる」とか「負けを認めさせる」とかは分かるけど、「告らせる」ってどういうことなのか、興味は湧くけど正解は分からない。

 

こんな感じになると思う。


敢えて内容には触れずに言うけど「かぐや様は告らせたい」というタイトルは、マンガの内容を見事に要約して言い切っているプレゼン力の高いタイトルである。にも関わらず、中身がタイトルからはまったく想像できないのもすごい。どんなジャンルのマンガにもありそうな、カメレオン感がある。まったくもって見事なタイトルだ。

 


終わりに(蛇足)


タイトルの話だけして、中身については触れずにこの話は終わりにします。実際のマンガのタイトルは、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」で、個人的には「天才たちの」以降は蛇足だったかな、とも思いますが、そもそも「いいタイトル」って何かという話よりは、「かぐや様は告らせたい」という10文字について語りたかったのでそれはよしとします。

 

 

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