「タイトルに主人公の名前が入ってるマンガは必ず面白い」という説がある。というか、この前僕が思いついた。
「かぐや様は告らせたい」という人気マンガを読んで、タイトルの濃密さについて書いた<記事リンク>時に、なんとなくそう思って、後日考え直したらこの説はかなり有力なのではないかと思えてならない。
「あぶさん」「ヒカルの碁」「賭博黙示録カイジ」「名探偵コナン」「からかい上手の高木さん」「はじめの一歩」「あしたのジョー」「NARUTO」「闇金ウシジマくん」「グラップラー刃牙」「風の谷のナウシカ」「NANA」「ざわさん」「哭きの竜」「おやすみプンプン」「金田一少年の事件簿」「奈緒子」「キャプテン翼」「黒子のバスケ」「昴」「いぬやしき」「チワワちゃん」「鈴木先生」「うしおととら」・・・
これだけのラインナップに加えて、「ドラえもん」「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」まである! もうここまで来たら、もう「証明おわり」でよくないですか?
さて、仮説の証明が無事に終わったので、これを期に「タイトルに主人公の名前が入ってるマンガ」僕の個人的なベスト10を発表します。
(※以下の記事内では作品の画像の転載は避けて、Amazonの商品リンクを貼っています。気になった作品があれば覗いてみてください)
1位 ジョジョの奇妙な冒険(荒木飛呂彦)
ジョジョの奇妙な冒険 第5部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/09/07
- メディア: Kindle版
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僕はジョジョ信者というわけではないけど、「ジョジョ」が全マンガのオールタイムベストでいいと思ってる。キャラ、ストーリー、絵、中毒性、長さ、ファンへの影響力、マンガ史への影響力。どれもSランク。「名前タイトルマンガ」でも、この作品を1位にすると納得感しかない。
2位 AKIRA(大友克洋)
アキラ、は主人公の名前じゃないんだけど、それはもうしょうがない。だって、「AKIRA」をランクインさせたいじゃないか。僕(42歳)より上の世代の評論家気取りの人はこぞって大友克洋を「重要な作家」として紹介する。それを過大評価だと思う人がいたとして、実は僕もちょっとその気持ちは分かる。でもそれは、かつてマンガは「子どもが読むもの」としてバカにされてた悔しさを過小評価してるんじゃないか、と。「AKIRA」が登場した時、当時のマンガ読みたちは「どうだ、これがマンガだ、ナメんなよ!」って、ものすごく興奮したんじゃないか。知らんけど。
3位 らんま1/2(高橋留美子)
高橋留美子の偉大さは、多分「偉大さを感じさせないところ」。「うる星やつら」「らんま1/2」「犬夜叉」「境界のRINNE」とモンスタークラスの長編ヒット作を休みなく描き続けて、おそらく同格と言えるような作家なんてほとんどいないのに、「巨匠」というよりは「少年サンデーの1人の現役作家」という感じ。「少年サンデー的世界観」の担い手はその後続いたと思うけど、高橋留美子作品に似たマンガはない。誰もが気づかないうちに真似していて、誰もが真似できない。すごい。
4位 ピューと吹く!ジャガー(うすた京介)
ピューと吹く!ジャガー モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: うすた京介
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/10/16
- メディア: Kindle版
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1位~3位でレジェンドを挙げてしまったので、個人的ランキングっぽさがなくなってしまった(王道好きだから仕方がない)。だから、というわけではないけど、「ピューと吹く!ジャガー」を4位に。「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」と迷ったけど、惰性で続いてるだけなのか、1周まわって面白くないのか、ウケるのかウケないのか意味不明な地平まで到達してる感のある「ジャガー」にしました。
5位 逢沢りく(ほしよりこ)
マンガを「映画みたい」とたとえる時には、「止まってる絵なのに、まるで動いているようにダイナミック」というようなイメージがあると思う。さて、「逢沢りく」は、小津安二郎映画だ。固定のカメラ、行間で機微を描いていくイメージ。あ、そうか、小津安二郎が、マンガみたいなのかもしれない。
6位 るきさん(高野文子)
今調べてみたら、「るきさん」が連載されていたのは、1988~92年だそうだ。掲載誌は「Hanako」。この地味な作品が今でも読み継がれているんだから(読み継がれてますよね?)、「世間や時代に踊らされずに生きること」がいかに難しいか、ということが逆説的に分かる気がする。誰もが、るきさんに憧れる。「僕はるきさんのこと好きだけど、るきさんは僕のこと好きじゃないんだろうな」と想像すると、いつでも擬似失恋が軽く味わえる。
7位 臨死!!江古田ちゃん(瀧波ユカリ)
これは、ぜひとも「るきさん」と連続して読んでほしい。るきさんも江古田ちゃんも、要するに「まともな感受性を持った、自立した女性主人公の生活」を描いたマンガだ。時代背景が、「バブル」か「ゼロ年代」かが違うだけで、こんなにもテイストが変わるのか、と目まいがする。るきさんは「バブルでも浮かれない」で、江古田ちゃんは「貧乏でもくじけない」。泣ける(笑える)。
8位 トリコ(島袋光年)
今やってるマンガで僕が一番好きなのは「HUNTER×HUNTER」なんだけど、なかなか暗黒大陸に上陸してくれなくて(そこが面白いからいいんだけど)。でも、「トリコ」ではすでに美食ハンターたちが暗黒大陸で奇想天外バトルやってるじゃないか、とも思わなくもない。古きよきユーモラスな雰囲気と、今風の能力バトルものの組み合わせでありつつ、中心にあるのはやはり、主人公の活躍を力強く描く感じ。「名前タイトルマンガ」はこれだよね、と。
9位 団地ともお(小田扉)
「ちびまる子ちゃん」は、もともとが思い出エッセイマンガとしての側面があるから、まる子の世界が一人称で語られていた。それに対し、「団地ともお」は三人称で語られている感じがある。ともお(たち)の気持ちにあまり立ち入らずに、子どもの世界を描いていく。子ども気持ちや行動のランダム感を外側から描いて、「日常なのに不条理」という不思議なマンガになっている。
10位 天才柳沢教授の生活(山下和美)
安定したクオリティで一話読み切りのマンガを続けた印象もあるけど、最初の頃の「柳沢教授」の変人ぶりを強調したエピソードよりも、もはやキャラが出来上がって安定してからどんどん面白さが加速した作品だと思う。こう書くと身も蓋もないけど、魅力的な老人が描かれていれば、それはもうこの世にとって大事なマンガなのだ。
殿堂入り ブラック・ジャック(手塚治虫)
ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 1974/05/01
- メディア: コミック
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手塚治虫のマンガをランキングに入れるのがどうもピンと来なくて「殿堂入り」とした。ところで、手塚治虫の代表作って、何になるんだろう。「火の鳥」は代表作というより「集大成」という感じ。「鉄腕アトム」は名刺がわりのヒット作。じゃあ、「三つ目がとおる」「どろろ」「アドルフに告ぐ」「リボンの騎士」「ジャングル大帝」あたりかな? いや、どれも違う。 結局仕方なく「鉄腕アトム」にするしかないのか。手塚治虫の作品リストを見ただけで、そこにマンガの種類がだいたい入ってるのではないか。どれが代表作とも決められない、バラエティーに富みすぎた作品群。
「ブラック・ジャック」のエピソード郡もそうだ。甘い話、辛い話、酸っぱい話。旨み、苦味もある。スピードも登場人物も緩急自在。古今東西の森羅万象(語彙力ひどい)を描き、それでいてマンガらしく読みやすい。「神様」というのは陳腐なんだろうけど、その呼び方が適切なのだからしょうがない。
蛇足 ランキングは以上です。面白さ、偉大さランクングではなくなんとなくしっくりくる順位に並べただけなので、そう思って見て頂けるとありがたいです。次点には、片山まさゆきの麻雀漫画「打姫オバカミーコ」を挙げたいですが、どう魅力を伝えたらいいか難しくて、当面の宿題にしておきます。
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