マンガ「僕だけがいない街」(三部けい作、角川コミックス・エース)を読んだ。あまり情報収集に積極的でない僕がタイトルを知っていたぐらいだから、それなりに話題になった作品のはず。
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マンガ「#僕だけがいない街」面白かった!
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月13日
・SF×ミステリー(つまり最強)
・前半、中盤、後半で違う種類のサスペンス
・力強い感情描写
それと思ったのは「面白いマンガって、やっぱ絵がうまいんだよな」と。キレイな絵と違っても、「イヤな予感」とか「心が通じる瞬間」とかが伝わってきました。
当たり前のことすぎて、逆にあんまり言わない気がするんだけど、「面白いマンガ」って、だいたい絵がいい。
例えば、浦沢直樹。浦沢直樹の一番すごいところは、ストーリーテリングの巧みさ(巧みさ、というより「凄み」なのかもしれないけど)ではなくて、「絵のハンパない分かりやすさ」なのではないか。
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出てきた登場人物が、「いいやつ」なのか「悪いやつ」なのかがすぐわかる。あるいは「いいやつか悪いやつかすぐにはわからない謎の人物」なら、「謎」であることがすぐわかる。登場人物が、悲しんでいるのか、怒っているのかがすぐわかる。あるいは、「何とも言えないことに苦しんでいるが、そのことを自覚していない」みたいな複雑な感情でも、それが自然に伝わってくる。
例えば、「PLUTO」で、アトムが出てきた時に、「ものすごく精巧に作られているので人間にしか見えない完成度が高すぎるロボット」という超重要な設定が、まったく説明なしに伝わってきたのは、完全に絵の力だと思う。この、「ハンパない絵の分かりやすさ」があってはじめて、「ジェットコースター的なストーリー」「複雑に絡むストーリー」が可能になるわけで。
あるいは、「SLAM DUNK」。中盤から(海南対陵南戦ぐらいから)だと思うんだけど、どんどん絵がうまくなっていく。それまでの絵に魅力がないわけじゃないし、「絵がイマイチだな」とは思ってなかったけど、連載後半になるにつれて、バスケの試合の表現がどんどん鮮明に、ダイナミックになっていくことは素人目にも明らかだ。
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プレーの緩急とか、選手たちの疲れとかが、絵で伝わってくるようになって、どんどん説明が要らなくなる。読者は、ダイレクトに試合の展開を追える。「マンガとしての表現力の成長曲線」が、「登場人物たちの成長」とシンクロして、ものすごいドライブ力を生んだのではなかったか。
「僕だけがいない街」に話を戻すと、たぶんこの作品のキモは「恐怖」と「恐怖に打ち勝つこと」だと思うので、「その恐怖」に迫力があるか、によって面白さがかなり左右されるはず。あまり端正とも独特とも言えないような絵に思えるけど、一番重要な「恐怖が伝わるか」においてはものすごい説得力。
結局何が言いたいかというと、「面白いので読んでみて」というだけのことなので、以上で終わりする。
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