職場(コールセンター)で電話対応をしている時に、「思い込むことと、思い込まないことの両方が大事」と、エッセイのタイトルを思いついて、電話対応が終わってからメモした。
20年コールセンターで電話対応をしている僕は、いろんなキャラを演じながら電話対応ができる。「ゆっくり丁寧系」「テキパキ系」の選択、相づちの大げささの調整、ややフランクな話し方を混ぜるか、しっかりした敬語を守るか。もちろん完璧ではないけど、かなりの幅で調整ができる。
これは「プロ意識」というよりは、「客の期待する話し方」を体現したほうが話が通じやすくて仕事が楽になるからだ。同時に、「用件の先読み」もする。コールセンターに電話をして、用件をシンプルに説明できる人なんてあまりいない。オペレーター側から、「〇〇というご要望ですね?」と確認したほうがいい。
でも、「思い込まないことが大事」とメモしたのは、ちょっと先読みを間違って、あやうくまったく客の望まない対応を提案しそうになったから。その時は、「間違いをすぐに認めて、リカバーできるか(謝罪して別の対応に切り替えるなど)」が重要になってくる。
それでツイートしながら考えたら、話は電話対応のこととはちょっと別の方向に転がった。
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思い込むことも、思い込まないことも大事。
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月9日
将棋で言えば、ぱっと局面を見て、「詰みがある」「攻めがつながる」と思い込んでからそれを具現化できる手順を確認していく。でも同時に、「そうとは限らない」といつでも思い込みをリセットできる精神状態を維持する。
人間関係でも。
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月9日
「この人はいい人だ」「この人は警戒したほうがいい」と、ひとまずは思い込んでみるしかない。でも、その思い込みをリセットする心の準備も常に必要。
#バイリンガルニュース で、benefit of doubt(自分にとって不快な言動を取る人でも、「その言動にはそれ相応の理由がおそらくあるのだ」とひとまず信じてみる)を話題にしていて、「ああ、僕だけじゃなくて普通にある考え方なんだ」と安心した(恥ずかしながら言葉として知らなかった)。
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月9日
benefit of doubtは、推定無罪(presumption of innocence)とはたぶんちょっと違って、「(他人のことはわからないから、自分の思いが間違ってることもあるから)ひとまずはいい方に解釈しておきましょうよ」という感じ?
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月9日
ヘタレな僕は、「あいつは本当はイヤな奴じゃないかもしれない(だから嫌ったりする必要はない)」と自分を言い聞かせて、ケンカを回避してばかりだった。benefit of doubtを使いすぎたかも。
— 鯖缶 (@savacanmemo) 2018年10月9日
「自分の感情を押し殺す」だと行き過ぎで、「嫌いだけど、それを修復の余地はあるよ」ぐらいがいいかな。
「バイリンガルニュース」は、僕がよく聴いてるPodcastの英語番組(英語で話すマイケルと日本語で話すマミの雑談。おすすめです!<バイリンガルニュースのサイトはこちら>)。そこで出てきた、「benefit of doubt」という言葉(というかその考え方)が印象に残って、上記のような一連のツイートになった。
職場の話に戻すと、オペレーターに横柄な態度で話す客に対して、「イライラするような事情があったのかも」と思うこと。僕はこれが得意で、ずっと続けてきた。横柄な態度で話す客を認め、低姿勢に対応してきた。接客についてだけでない。友人関係なんかでも同じだ。誰かが遅刻してきても、なるべく怒らずに済むような物の見方をすばやく見つける。そして、そうできるのは、自分のいいところだと思っていた。
でも、最近は少し違う。「相手に有利な視点に一度立ってみる」ことは必要なことだと思うけど、その視点は「自分が感情的になるのを避けて、少し落ち着くための仮の視点」だ。対立を避けるために(あるいは、対立を避けた自分をそのまま納得させようとするあまりに)、「失礼な人を許そう」と自分の感情を捻じ曲げることはない。
「失礼な態度許さないけど、その思いに絶対にこだわる必要もない」ぐらいに思って、その状態を居心地悪く思わずに過ごせたら、一番いいかな、と思っている。電話対応の客には言えない(言う必要もない)けど、知人や同僚なら、落ち着いて接しているうちに態度を改めてくれるかもしれない。
「きっと事情があるから、失礼な態度でもしょうがないんだ」というのは、相手の態度が直らないと諦めることだ。無理に自分を言い聞かせてまで、勝手に諦めることもないな、と思い直している。
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