鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【映像翻訳】日本語表現を磨くエクササイズ

翻訳者に求められるのは英語力(外国語力)だけではない、とよく言われます。セリフを作るための発想力、ベストな案を採用するための推敲力、言葉選びのセンスが必要でしょう。日本語表現のセンスを磨くための練習法、考えてみました。


仕事や勉強の合間に気分転換でできるものばかり考えたので、ぜひ試してみてください。


(もくじ)

 


①勝手にサブタイトル

字幕ではなく、副題の方のサブタイトルです。名作映画に、勝手に副題をつけていく、というシンプルな遊び。どっちにしろサブタイトルなんてダサいので、出来は気にしないでいいです。大喜利感覚で、たくさん考えてみましょう。


例えば、「ローマの休日」ならどうか。

 

「ローマの休日~王女がお転婆になった日」うーん、“休日”と日が被ってるし、説明しすぎ?「王女、ヴェスパ乗るってよ」はは、ダサい。でも“ヴェスパ”っていう具体的なワードを出すのはイメージが具体的になっていいかも。「アンのぼうけん」ああ、王女と言わずに、“アン”と言うとヒロインに親近感が持てるかもな、とか考えていくのです。


結局いろいろ考えて、「副題、要らない」となりそうですが、「作品の中で重要になるワードは何か」を考えたり、「それぞれのワードにどんな温度やイメージがあるか」を考えたりできると思います。(それにしても、「ローマ」「休日」というワードの強さ、イメージの豊富さはすごいですね。「王女の休日」とするより、「ローマでの1日」とするよりも、圧倒的にいい)


ストーリーを知らない作品だったら、勝手に「続編のタイトル」を考えてみてはどうでしょうか。「こんなタイトルありそう」と連想ゲームをすることで、いろんなワードのイメージを自分の中に蓄積するのです、


②私の中の京都人

何か悪口を言いたくなったら、自分の脳内に(いわゆる)”京都人”を呼び出して、「遠回しな皮肉」に言い換える遊びです。「仕事遅いぞ」→「丁寧な仕事してはりますな」みたいな言い換えを考えてください。


「部屋が汚い」→「清潔感が控えめなお部屋ですね」「ありきたりな意見」→「みんなが言いたいことを言ってくれた」など、普段の生活で悪口を言いたくなったら、言い換えてみる。


「遠回し⇔直接的」「ネガティブ⇔ポジティブ」、いろんなトーンでセリフが書けると、字幕にも吹き替えにも役立ちます。


③実況4コマ漫画

何でもいいので4コマ漫画を用意してください。そのマンガを見てない人に、1コマ目からオチまで順番に、内容を伝える遊びです。


「映画のあらすじを1分でスピーチ」と同じで、「要するに何が面白いのか」をつかんで、それを簡潔にまとめる練習。4コマ漫画なら、いくれでも繰り返しできます。


内容を伝えるだけでも案外難しいですが、「面白さを説明しすぎないで伝える」ができれば高ポイント。


「1コマ目でママがついた嘘を、コボは見抜いてるわけよ」と面白さを解説するより、「4コマ目。コボ、すまし顔で”この親にしてこの子あり”」みたいに、解説せずにマンガを再現できたらすごい。「聞き手が面白さを自分で気づける」というのは、翻訳でも重要な観点です。


「原文の意図を噛み砕いた明快な意訳」は素晴らしいですが、「視聴者が自分で感じ取るべき情報を得意げに解説するような訳」は台無しですよね。その違いを意識する練習になるかもしれません。

 

④台無しキャッチコピー

キャッチコピーの言葉を少し変えて、ダメなキャッチコピーを作る遊び(大喜利でありそうですね)。


例えば、「インテル入ってる」なら、「インテル、インしてる(意味不明)」とか「インテル、入ってる。インだけに(説明してダサい」みたいに。「ダメな例を作って、どこがダメなのかをツッコむ」ができるようになると、もとの言葉の良さが理解できます。


ことわざでもいいでしょう。「千里の道もちょっとずつ」…いや、そんなのなら、「千里」とか出さずに「ちょっとずつ」でいいだろ! と思うと、「一歩から」の凄みが分かります。対比、臨場感、伝わりやすさ。


「馬の耳に念仏」の代わりに、「馬の耳にワーグナー」はどうダメか。ワーグナーは、「ありがたいもの」というイメージよりも先に、「難解なもの」「好きな人は変人」というノイズが入りそう。「馬の耳に讃美歌」ならどうか。讃美歌、響きの荘厳さは、ひょっとしたら馬も理解しそうな気がします。(こう考えると、「馬の耳に念仏」という6文字のものすごい情報量に感動すらしてきませんか)

 

⑤勝手に音声ガイド入門

映像情報を音声で伝えて、ラジオドラマのように耳で映画を楽しめるようにする音声ガイド。試しに一度ナレーション原稿を書いてみるのはどうでしょうか。

ちゃんとした原稿を書くのは難しいでしょうが、書いた後で、どこがダメかを考えるのはいい練習になりそうです。


映像から、どの部分を拾ってくるか。そして、それをどんなワードに落とし込むか。例えば画面で湯気を立てている台所家電のことをどう言うか。「やかん」「ケトル」「電気ケトル」「ティファール」どれを選ぶのか、それだけのことですでに悩ましい。


「ハナコ、いやらしい目つきでタロウを見る」はNGでしょう。「いやらしいこと考えてるのかな」は、観客が画面を見て想像することであって、ナレーションで説明してはいけない気がします。「いやらしい」はワードとして主観的すぎる。ならどう言い換えればいいのか。難しいですよね。


もし、上手に作れないなら逆に、「ヘタクソ音声ガイド」を書いてみるのも面白そう。「小汚い男が登場。こいつが犯人だろうか」…そんなナレーション最悪だろ、っていうのを考えるのです。

 

まとめ

「たくさんの案を思いつく」「その中から正解を選べる」というのが、翻訳原稿を作る時に重要ではないでしょうか。


第一稿を書く時、「訳文、訳語の候補をすばやく、たくさん思いつける」ようになると、スピードが上がります。1つの案件にかけられる時間は事実上有限なので、スピードはクオリティに大きく影響するでしょう。「アイデア出し」が好きになれる練習があるといいな、と思って考えました。


また、リライトする時には「ダメな訳文は粘り強く直す」ことも重要ですが、「いい訳文にはキッパリとOKを出して迷わない」ことも重要でしょう。つまり、推敲の基準を自分で理解している必要があります。だから、「ダメな案、いい案の理由を説明する」練習が有効かな、と思っています。


「なんとなくしっくりこない」「理屈は分からないけどイケてる気がする」というあいまいな判断基準は、不調時には頼りにならないです。「○○だからダメ」「○○だからアリ」と、理由が説明できて腑に落ちた選択基準は、似たような場面で何度も使えます。


そんなことを念頭に置きながら、気軽にできそうな練習を考えてみました。少しでも参考になる部分があればうれしいです。

 

 

 

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