鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【日記】47歳からのHIPHOP入門⑤(お涙頂戴なら、いっそ愚直に)

2023年12月某日 怒りが空振りしてしまう昼下がり

いい気分で昼寝をしていたら、見知らぬ電話番号から電話がかかってきて起こされた。自分が起きたことに気づかないフリをして、そのまま寝ようとしたんだけど、やっぱり無理で。


だって、気になるじゃないか。会社で、入力した書類に不備があって、その確認かもしれない。または、翻訳の添削でクレームが入ったか。それか、娘のために申し込んだ冬期講習の塾からか。問い合わせのメールを入れたのに、返信が遅くて内心腹を立てていたのがバレたのかもしれない。


会社からの電話だったら番号電話帳に入ってるはずだし、添削のクレームってなんだよ。そんなの聞いたことないよ。もしあったとしても、電話はしてこないよ。まあ、塾の冬期講習の申し込みには電話番号を入れたかもしれない。だけど、内心腹を立ててることはバレないし、バレたからって構わないだろ。

 

…とか、気になってるうちに目が覚めちゃったじゃないか。着信のあった電話番号をググろうとして電話をいじってたら、間違えて発信してしまって(出なかった)、ヤバいヤバいと焦って思わず布団から抜け出して。それで、PCでその見知らぬ番号検索してみたら、ソフトバンクの営業電話の発信表示番号じゃないか。なんだよ、セールスかよ。カンベンしてくれよ。こっちはいい気分で寝てたんですよ。

 

と、そのタイミングでまたスマホが鳴って。確認すると、目覚まし用のアラームである。スヌーズ機能で、設定時間の9分後になるようにしてある。アラームを止めながら、「てことは、寝過ごしそうだったオレを、ソフトバンクが起こしてくれたのか」と。

 

まったくもって納得のいかない話になった。ふざけんなとムカつこうとした矢先に、案外グッジョブだったことに気づいてしまい、怒りが空振りしてしまう流れ。納得のいかない気持ちでおはようとつぶやく午後3時。学校から帰る子どもたちを迎えたら、夕飯の買い物に行くんである。


12月某日 お涙頂戴なら、いっそ愚直に

ツイッターのタイムラインで知った十影「シングルファザー」を聴きながら帰宅。これは、堪えようと思ってても泣いてしまうやつ。人生を安易な感動ポルノにするようなムーブには加担したくない、みたいなことで、一応「言うほどよくなかったよ」という感想に着地してもいい、という気持ちで聴き始める。実際、途中までその気持ちは変わらない。「別に普通じゃん」みたいな。

 

(YouTubeのリンク貼っておきます↓)

シングルファザー / 十影 pro.DJBA - YouTube

 

だけど、その「普通」が沁みるんじゃないか。日記に書き綴った、祈るような言葉。子どもへの気持ちを言葉にして、自分を奮い立たせるようなリリック。お涙頂戴をやるんなら、いっそ愚直にってことか、これはね、エモーションが、どうしても共鳴してしまうよね。聴いてるこちらも、十影さんを応援する気持ちを入り口にして、僕自身を応援するような気持ちになっちゃうやつ。


それで泣きながら帰ってきたんだけど。キッチンにたくさん食材が置いてあって。長ネギと、レタス丸のまま1個、卵1パック、しめじ2パック。書置きがあって、2世帯同居の母からの差し入れだと分かる。近所に新しく開店したスーパーの安売りに行ったのだと。


その食材と書置きを見た僕は、反射的にイラっときてしまうのである。お分かりになるだろうか。予定外の食材、案外困っちゃう時ないでしょうか。料理のローテーションがなんとなく決まってたところに、「この食材も使ってね」と言われて、ダルいと思ってしまう気持ち。妻が、食材を無駄にすることをひどく嫌うので(もちろん僕も好きではない)、「食材が余ってること」は僕にとって「料理をして消費しなくては」というプレッシャーなのである。


もちろん、そのイラっとした気持ちは2秒後には「いやいや、お母さんありがとうって話でしょ」というように自分をなだめて、というか素直に感謝の気持ちもあるんだけど。

 

十影さんのラップに心を洗われながら帰ってきたはずなのに、母の気づかいに反射的にイラっときてしまう感じ。生活とはそんなものだ。なんとも贅沢な話ではある。


12月某日 失敗にも味があるってハナシ

妻が予約をしてくれて、フレンチのコース料理を家族で食べに行く予定。その前に、子どもたちにナイフとフォークを練習させよう、と思いついた。それで、フレンチトーストを作ることにした。作ったことはほとんどないけど簡単そうだし、ナイフとフォークで食べるのも簡単そう。練習にはちょうどいいじゃないか。

ネットで単純そうなレシピを調べて、某レシピ投稿サイトをチェック(だいたい作るのが簡単そうなレシピが上位に来るので、こんな時には便利よな)。フムフム。これはあんまり失敗しなさそう。これを朝食にしてやろう。


まず、牛乳と砂糖と卵を混ぜるんだけど、これには大き目のボウルを用意した。これはいい。ボウルが深いほうが、液が飛び散るのをあまり気にせずに混ぜられるよね。泡だて器がないので、箸を4本持って代用した。それで調子に乗って、半分にちぎった食パンを投入していったんだけど、微妙に失敗。後から投入した分が、液に浸からないのよ。いやあ、油断したよ。まさか、この工程で失敗するとは思ってなかった。液を混ぜるのは深いボウルがやりやすいんだけど、パンを浸す作業は平たいバットみたいなのがやりやすいのか。でも、もう仕方ない。さっき混ぜるのに使った箸でパンの上下をひっくり返したりしながら作業を進めて。


で、さらに。フライパンにバターを溶かして、パンを焼いていくんだけど、その間にサラダを用意したり、次に焼く分のパンを液に投入したり、寝てる子どもたちに声をかけたり、焼けたパンを皿に盛ったりする作業を進めていって。で、思わぬことが起きたんである。パンはまだ焼きたいのに、液が足らなくなってしまった。おかしいな、レシピの分量どおりだったんだけど、なにか違ったかな、と瞬間思いを巡らして。ああ、「パンを液に浸ける時間」が違ったやんけ、と。つまり、最初に焼いた方のやつは浸かりすぎで、余計に液を吸収してしまったに違いない。それで、最後になって液が足りなくなってしまった。

 

うわああ、マジか。フレンチトースト、失敗するやんけ。「クレイマーvsクレイマー」で、ダスティン・ホフマンが不器用に作っていたフレンチトースト(つまり、普段家事をしなかった仕事人間は、フレンチトーストすらままならない、みたいなストーリーの提示)と同じパターンかよ。オレ、週6で料理してるんだけどな、トホホ。


で、ここからが話したいことなんだけど。「最後に液が足りなくなって、イマイチ浸かってないない部分」ができたフレンチトースト、失敗したと思ったから僕が食べたんだけど。 それが、意外とイケるんである。 やわらかく甘い部分と、カタくてシンプルにパンの味がする部分のコントラストが楽しめて、全然悪くない。悪くないどころか、かなりウマくね? と。


これって、HIPHOPじゃね? 人生、甘く見てると失敗するんである。でも、失敗を受け入れてかみしめてみると、そこにはちょっとユーモラスな味があるのか、と。いやあ、朝から縁起がいいぜ。

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