2023年12月某日 ダサいからこそカッコいい
OZROSAURUS。「Players' Player feat. KREVA」のライブ映像がタイムラインに流れてきてチェック。めちゃくちゃよくて。ライブの動画も見て、MVも見て。それぞれ6回ぐらい見ちゃったよ。
それにしても、僕は2年前までHIPHOPに興味なかったし、「なるべく聴いてみよう」という意識しだしたのは3カ月ぐらい前だったにしろ。OZROSAURUSはおろか、KREVAもよく知らないんよな。世代的には、KREVAって好きになるか嫌いになるかしそうなものだけど、「あんまりよく知らない」っていうんだから、僕の食わず嫌いも相当なものである(HIPHOPどころか、邦楽洋楽問わず音楽を聴くというルーティンがなかったのでしょうがないけど、それにしても)。
この曲に付随するストーリーを知らずに聴いた数少ない例かもしれないので感想を残しておこうかな、と。
僕はHIPHOPに触れる時に、「ダセえ」と「カッケえ」は紙一重、みたいなことをよく思う。韻を踏んだり、早口でまくしたてたりした後のドヤ顔が、めっちゃダサく見える時ないですか? ブラックカルチャーに憧れて、それを表面的にマネしてるくせに、「オレ流」をめっちゃアピールしてくるあの感じ、ダサくないすか。
なあ、ヘッズよ、正直に言ってくれ。ちょっと笑っちゃう瞬間、君にもあるだろ? だって、落ち着いてよく考えてみてくれ。クレバとマッチョの競演。知力vs筋肉かよ。そんな名前の2人がカッコいいなんて、そんなこと普通ならあり得ないでしょ。
なんだけど、「ダサいからこそカッコいい」みたいな世界観は確かにあって、そこがHIPHOPの面白いところだと思うんだけど。どんなみじめな境遇でも、「そんなのオレにとってはへっちゃら」と胸を張って言い切ったら、ボースティングにできる、とか。そういう、「マイナスをプラスに変えるカルチャー」に僕は惹かれてるんだ。
で、「Players' Player」のKREVA。もちろん僕はカッコいいと思ったから何度も聴いたんだけど、あれ、結構「ギリギリ」じゃないすかね。つまり、「一見カッコいいけど、その感じが逆にダサくね?」と思う人だって結構いるんじゃないかな。たたずまい、身振り手振り、ライムもフロウも、「揶揄される対象としてのダサいラッパーの姿」が、洗練され凝縮されてる感じがする。でも僕は、「ダサいからこそカッコいい」と思ったな。
「この年でも自己ベスト出すんだよ」っていう気合を表に出してる感じ。ただ韻を踏むだけじゃなく、とことん踏む、しかも、「滑らか」かつ「トリッキー」につなげて、MACCHOのワードを(過去の代表作やこの曲の最初のバースから)拾って。その必死さが、「スターじゃなくて挑戦者なんだな」みたいな印象で届いてきて、それがよかったな。
終わったストーリーを感慨深げに振り返るような「いい話」を演じる曲にするんじゃなくて、「こっちの方が上」と威嚇するような態度が、最高のサービス精神だし、MACCHOへのド直球のアンサーになってる、というような。
そのKREVAのパフォーマンスで、MACCHOの良さが引き立ってたのも、なんともニクい構成じゃないすか。MACCHO、意味が分かるような分からないようなワードの連なり。独特のリズムでパンチを出してくるボクサーの、シャドーボクシングみたいで、リラックスしてるようにも、気合がみなぎってるようにも見えて。芯のあるバイブスがカッコよくて。とてもよかった。
忘れた頃にまた聴きたい。
(YouTubeのリンク貼っておきます↓)
OZROSAURUS / Players' Player feat. KREVA (Live at YOKOHAMA ARENA, JAPAN, 18 Sep 2023) - YouTube