鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

スポンサーリンク

【日記】マンガばかり読んでるうちに年を取る㉘(熱意が想像を超えていた件)

2023年6月某日 眠くて不機嫌になる話

昨日の夜、寝る前に。妻が息子を慰めるような、励ますような口調で語っていて。その時僕は、麻雀Mリーグの切り抜き動画を見ながら飲酒をしていたんだけど。その飲酒のせいもあって、息子たちに向けてついアツく語りだしてしまった。


「みじめなこと、イヤなことがあっても、それはチャンスなんだ。コロナで世の中ギスギスして、そのギスギスにつられて不安だったり、イライラしちゃったりしたけど、ふと思い出すと、それでも案外平気かも、と思ってたりする。あれ、ひょっとして、僕って案外弱くないかも、って気づくチャンスなんだ。イヤな思いをして、みじめな思いをして、そこからいっぺんに楽しくなるのは難しくても、イヤな思いをしても案外へっちゃら、って気づくと、それが自信につながることもある」とかなんとか。


当の息子は、「うん、わかった」とシラケるようなリアクションでそのまま布団に入って寝てしまい。僕の酔っぱらったセンチメンタルな説教(?)は空回りして。仕方ないので妻に向かって話し続けて。イヤな気持ちになった時に、イヤな気持ちになった自分を弱いと思って責めるんじゃなくて、イヤな気持ちを否定せずに受け止めて、ひと呼吸置いてから、イヤな気持ちになっても案外平気な自分を思い出す、それができるといいね、みたいな話を繰り返して。


その一連の流れを、今日になって振り返ってみて、「何かがおかしい」と気づいた。子どもたちと僕が夕飯と風呂を終えたぐらいのタイミングで帰ってきた妻が、息子を慰めるような口調で話しかけていた(学校でイヤなことがあったんじゃないか、と思ったらしい)ことが発端だったんだけど。よくよく思い出してみるに、息子は学校から帰ってきてすぐに友達と公園に遊びに行き、帰ってきて姉とスマブラをして、夕飯では手羽元を平らげ、ずっと上機嫌だったじゃないか。それが、寝る前になって「もう眠いのに歯磨きが終わってない」みたいなことで半ベソをかいていただけなんじゃないか。「眠いと不機嫌になる」という、生理現象的なメソメソ、そんなの子どもによくあるよ。


娘にもちょっと聞いてみた。「昨日さ、落ち込んでもいい。落ち込んでも平気って思えたらちょっと強い、みたいな話をしちゃってたけど、そもそも誰も落ち込んでなくない?」 娘もそう思ってたという。息子よ、すまなかった。早く寝かせてやるのが一番だった。

 

6月某日 吹奏楽部の先生の熱意が想像を超えていた件

子どもの吹奏楽部の保護者会に行った。保護者の中で、役員を決めなくちゃいけないのでちょっとだけ気が重いんだけど、それとは別に、保護者会の前に、練習の様子を見学させてくれるというので、それは楽しみだった。


これが、なかなかにすさまじい練習だったのである。何がすごかったか。新しく来たT先生の吹奏楽への熱意が想像を超えていた、という。


T先生。基礎練習みたいなやつ(曲というよりはシンプルなフレーズで音を出す、というような練習?)の指揮ですら、熱意が伝わってくる。部員たちを励ますような雰囲気で、実際に励ますような声をかけながらリズムを刻むんだけど、その分、「手を抜いたら許さんぞ」というような雰囲気がある。これ、僕はめちゃくちゃ好きなんよ。大声で𠮟りつけないんだけど、練習をナメたらいけないとオーラで伝えてる感じ。


「音量じゃなくて、音の圧力でクレッシェンドね」とか「間違ってもいいからとにかく最後まで音を出して」とか、指揮をしながらの声掛けも面白くて。言い方はやさしいんだけど、基礎練習でも(基礎練習だからこそ)、音楽的なイメージを要求してる感じなのか。


「じゃあ、お母さんたちに、曲を聴いてもらいましょう」と、ミニ発表会みたいな時間になって。T先生劇場は加速するんだけど。ルパン三世のテーマをやるらしい。子どもたちのうち何人かは、張り切っているようなリアクション。「じゃあね、まだ練習中だけど、先生も応援するから、ノリノリでやっていきましょう」みたいなことを言って、T先生は指揮棒を置きトランペットを持つのだ。


曲が始まってすぐに、T先生のトランペットは“爆発”する。「踊る」とか「歌う」とか「叫ぶ」とかの比喩ではなく、「爆発」するような演奏。とにかく、シンプルに音がデカい。子どもたちの12人分ぐらいの音量を先生1人で出すのだ。「トランペットのポテンシャルを聞いてる奴全員に“分からせる”」ようなバイブス。一緒に演奏する子どもたちに、「言っとくけど、オレがノリノリって言ったら、それって本気でノリノリだからね」という伝えるパフォーマンス。T先生、めちゃくちゃ上手いトランペットで、最後までメインフレーズを演りきったのである。


あっけにとられる保護者たち。何だ今のは。そんな、「本気」の演奏を聴く心の準備なんて、平日の午後4時には持ってないんすよ。


「よし、できましたね。じゃあ次は、先生の応援なしでもう1回やってみましょう」と。トランペットを置いて、場所を移動した。正直言ってちょっと安堵したよね。T先生のトランペットが聴けないのは残念だけど、子どもたちの演奏聴きたいでしょ。


でも、油断するのはまだ早かった。2回目の演奏、T先生はドラムで参加するのである。「ノリノリをナメるな」というメッセージがエグいんよ。指揮棒を置いてトランペット、トランペットを置いてドラムスティックという流れは想像してないでしょ。熱意がすごすぎて、ちょっと笑ったよ。

 

2回目のルパン三世が終わった。「ルパンはね、入ったばかりの4年生は、まだそれほど練習できてないから、「かえるの合唱」をやりましょう」と。僕は一瞬油断した。さすがに「かえるの合唱」では爆発しないでしょ、T先生劇場も小休止するだろう、と思った。しかし、T先生、今度はピアノで“かまし”にくるんである。


ピアノで前奏するんだけど、その前奏が、情熱的すぎるんである。あれか。「BLUE GIANT」か。「ピアノはハンマーで弦を殴る、打楽器が本領なんだよ」みたいなやつか。「音を楽しんでないやつはぶっ飛ばす」みたいなオーラで聴く「かえるの合唱」の伴奏。油断した僕が甘かったよ。


僕は、T先生のことが好きになった。誰かに何かを教える時に、気をつけるべきは「教える側のエゴ」だと思ってる。生徒を支配して、コントロールすることの快感に飲み込まれると、生徒の成長を目的ではなく手段として扱うようになってしまうことがある。だから、「熱血教師」には要注意だ。でも、T先生は違うと思った。なんというか、「教えるエゴを抑えてコントロールする」ではなくて、「教えるエゴを突き詰めてむしろ爆発させる」みたいな方向で、「エゴに自分をコントロールされない教え方」を感じたのだ。


練習の見学の20分間、T先生の爆発っぷりにあっけに取られているうちに終わってしまった。子どもたちがついていけるのかはちょっと疑問なんだけど、少なくとも、何かを感じてくれることだろう。

 

6月某日 「相乗効果で魅力倍増」とは限らない

読んだマンガ。

「告白~コンフェッション~」(原作:福本伸行/作画:かわぐちかいじ)…全1巻
「生存~Life~」(原作:福本伸行/作画:かわぐちかいじ)…全3巻


ブックライブで、20%OFFのクーポンが当たったけど、特に買いたいマンガが思いつかない。それで昔読んだのを思い出して、これを。超有名作家2人による、けっこうガチめのタッグだよね。単なる“企画もの”という感じじゃなくて、作品としてちゃんとパンチを当てにいこうとしてる感じがある。隠れた名作、みたいな印象だった。


読み直してみて、感想としては「うろ覚えだった印象より面白くない…かも…あれ?」だった。「カイジ」で名を売った福本伸行が、特殊ギャンブル以外でも「極限の心理戦」を描けるんだと示した原作。人物の表情をアップで描かせたら、圧力がケタ違いな、かわぐちかいじの画力(Wカイジじゃねーか)。こんなの、つまらないわけがない、と。そう思ったし、事実ちゃんと面白いんだけど…


「相乗効果で魅力倍増」とはなってないかもな、とか思った。かわぐちかいじの端正な絵で見ると、福本伸行の話の展開が、「そうはならんやろ」ってなってしまう、というか。そう思うと、福本伸行にとって自身のあのユニークな画力は、欠点ではなくてむしろセールスポイントだったのかもしれない。「毒を持って毒を制す」というか。「脂がギトギトすぎてクセの強い肉の味を、もっとクセの強い薬味で食べると、不思議といくらでもイケる」みたいな。


(ところで、僕はいまだに「カイジ」は追っていて、「ワンポーカー」も「24億脱出」も、「むしろ面白い」と思って読んでたりします)

 

(続きはこちらです↓)

www.savacan3rd.com

 

(1つ前の日記はこちらです↓)

www.savacan3rd.com

 

スポンサーリンク