鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【日記】マンガばかり読んでるうちに年を取る㉗(僕とオフロスキー)

2023年6月某日 僕とオフロスキー

オフロスキーというのは、Eテレの子ども番組に出てくるキャラクターなんだけど。お風呂に住んでる、妖怪というか、妖精というか。河童とか天狗とかみたいに、ほとんど人間と変わらない体形なんだけど、たぶん人間ではなさそうな存在。


さて、たぶん12~13年ぐらい前のこと。職場の喫煙室で、居合わせた同僚に、「オフロスキーに似てますよね」と話しかけられた(思えば、喫煙室というのは、普段話さない人とちょっとだけ会話をするような場所でもあったんだな。もうタバコ吸ってないので、ちょっと懐かしい)。


で、当時の僕には子どもはおらず、子ども番組も見ていなかったので、オフロスキーのことは知らなかったので、「ごめんなさい、ちょっと何言ってるか分からないです」というようなリアクションしかできなかったんだけど。


その時から数年後、僕は子持ちになり、子どもにEテレを見せ、オフロスキーのことを知ることになる。。オフロスキーは、お風呂を模した部屋のようなところで、いろんな遊びを1人で楽しんでる。なんでもいい。ティッシュを1枚上に投げて、ふわりふわりと落ちてくるティッシュをキャッチしたり、扇風機のモノマネをしたり(この例は今僕が適当に考えただけであって、実際には1つも覚えてないんだけど)。そして、テレビの前の子どもに向かって、「君もやってみなよ」みたく誘うのだ。


オフロスキーのカッコいいところは、サービス精神があるのに、子どもに媚びてないところ。孤独を楽しんでるところ。いつでも自由で、無理してないのに上機嫌なところ。僕はオフロスキーのことを好きになった。


そして、「僕はオフロスキーに似てると言われたことがある」というのは、僕にとってひそかな自慢になったのである。僕のビジュアルは、オフロスキーに似てるわけじゃないんだけど、でも、ちょっとだけ分かる。僕が職場で演じてるキャラが、近いのかもしれない。特定の派閥には加わらず、昼休みは1人で過ごす。ゴシップや陰口で仲良くなるのがイヤだからあんまりおしゃべりには参加しない。でも不機嫌だと思われるのは申し訳ないので、同僚とすれ違った時には手を振ったりする(オッサンがブリッコ風に小刻みに手を振るのはなかなかキモいんだけど、機嫌悪くないことを伝えるための道化なんだ。ユーモラスだと言い張れば、キモさだっていいアクセントになるでしょ)。


チーム内で、自己紹介を書くシートがあって、それには質問が50個書いてある。答えなくてもいいし、ウソを書いてもいい、みたいなやつ。その中に、「自分が似ていると言われた人は?」という項目がある。そこで、つい魔が差して「オフロスキー」と書いてしまった。書いた次の日には、猛烈に恥ずかしくなったんだけど、もう今から消すのも恥ずかしい。調子に乗った自分を内心責めていると、意外なことに、何人か「言われてみれば、オフロスキーに似てるっていうのは分かる」と認めてくれた。


僕は、「これがセルフプロデュースか」と知ったのである。多少無理があっても、「僕はオフロスキー」と表明することで、なんとなく「アリ」みたいな雰囲気になってしまう、というか。こうして僕は、妖精系(妖怪系)おじさんとして、多少上機嫌にしていれば誰からも嫌われないポジションを獲得した、という。


……なんだこの話は。憧れのキャラに似てると言われて、内心喜んでるだけならまだしも、それを何年も経ってから同じチームの人に自分から言って認めさせて、その歴史を日記に書いて反芻しているという。なかなかヤバすぎるでしょ。でもまあ、しょうがない。オフロスキーに似てるって言われたら、人間は喜んでしまうんである。当のオフロスキー本人は、誰かに似てると言われても、きっと何も気にしないだろう。それをずっと覚えていて、日記に書いたりしないだろう。なかなかそんな風にはなれないよね。

 

6月某日 甘くて軽いエピソードじゃないのかよ

読んだマンガ。


「ブルーピリオド」(山口つばさ)…11~13巻。11巻がかなり好きだった。藝大の1年目を終えた八虎が、高校の美術部の先生(つまり、美術の入門を導いてくれた恩師的な存在)の絵画教室でバイトをする春休みのエピソード。


悩み多き藝大1年生をなんとか乗り切って、でもいまだ、どこにもたどり着かなかった八虎が、たぶん2年生になってもアートの森で迷い続けるであろう小休止的な春休みで恩師と旧友との再会。甘くて軽いエピソード挟んでくるのかと思いきや、めっちゃシャープでビターな話だった。どんだけ読者を信頼してるんよ。(僕は惚れ直しました)

 

「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(マキヒロチ)…4~6巻。最後まで、ずっと面白かった。いろんな街の空気感を肯定的にとらえる眼差しがやさしい。各エピソードの主人公(部屋を探しに来る人)が、「この街で暮らそう」「この部屋で暮らそう」と決める瞬間を美化しすぎずに描いていて、勇気をおすそ分けしてもらえる感じ。


何かを再スタートしたり、方向性をアジャストしたり、人生にはいろんな可能性があるのに、それを試すのをサボってるじゃないですか。でも、「引っ越したら何かが変わるかも」って思える強さ(または能天気さ、図々しさ)が自分にあること、時々思い出すのいいよね。(転居以外に、持ち家のリノベーションを描いているのもめちゃくちゃ秀逸だな)


ボードゲーム屋を紹介して、そこで買ったボードゲームを、内見先の部屋で遊ぶエピソード、なんか泣きそうになった。オレ、ボードゲーム好きなんよ。どんなゲームでも、やればだいたい好きになる。だけど、なかなか面倒で新規開拓なんてしないよね、一緒にやる相手もいないし。見るだけなら将棋と麻雀だけでコンテンツありすぎるし。


「面白いらしいボードゲームを選んで、ルールを覚えて、ちょっとやってみる」程度のコストを、「面倒」ってだけで(自分でも気づかないうちに)切り捨ててきたんだな、とか思って淋しくなっちゃった。でも同時に、やろうと思えば今からでも、いつでもできるじゃん、って思ったらそれだけでうれしかった。実際は死ぬまで一切新しいボードゲームを開拓しないかもしれないんだけど、「やってみればいいじゃん」って思うだけでも、ちょっと力が湧くものがある。


あと、いろんな街の魅力的な映画館を紹介するエピソードがあるんだけど。吉祥寺にはないけど、魅力的な映画館が他の街にはある、という話の流れで。だけど、この時の重田姉妹に伝えてくれ。その後、吉祥寺にはアップリンクが来たんだよ、と。


パルコの地下2階。以前はパルコブックセンターだったところが、映画館になってるんよ。行ってみると驚くんだけど、スクリーンが5つもあるんだ。広いとは言えないフロア面積を、迷路のようにレイアウトして、客席数はそれほど多くなくて、スクリーンも大きいとは言えないけど、わりとお客は入ってるんだよ。


思えば、「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」第1話、最初のセリフは、閉館されたBAUSシアターを重田姉妹が見てポツリと言う、「吉祥寺も終わったな」だった。分かるよ。ミニシアターの閉館ほど悔しいものはない。「結局カルチャーなんてないがしろにされるんだ。というか僕も、ないがしろにしてきたんだ。吉祥寺だって同じじゃないか」と、淋しくなってしまう気持ち。


だけど、吉祥寺にまたミニシアターが戻って、しかも、ちょっと繁盛してるっぽいんだぜ。時の流れって、面白いよな。


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