鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【日記】マンガばかり読んでるうちに年を取る㉔(人生のメタファーかと思った話)

2023年5月某日 人生のメタファーかと思った話

あっけないな。昔のノートパソコンを捨てたんである。それも2台も。それぞれ、動作が遅くなりすぎてたし(起動するだけで7分ぐらいかかる状態にまでなってた)、セキュリティーソフトも解約していたし、もう、触るのもダルい状態だったから、仕方ない。


それとは別に、使ってなかったテレビも捨てて。捨てるというか。リサイクル業者に、お金を出して引き取ってもらったのである。このテレビ、捨てようと思ってから実際捨てるまで、たぶん7年ぐらいかかったな。我ながら、「めんどいタスクの先延ばし」が情けないよ。


でも、一応言い訳も書いておこうか。テレビとしては故障して(地デジを受信するためのカードがうまく読み込まなくなって)はいたものの、ディスプレーとしては使える(DVDやゲームをつなげば使える)ので、「ひょっとして使う機会あるのでは」と思って、捨てずにいたのである。そして、「ひょっとして売れるのでは」とも思ってたんだよな。


まあでも、使わないし、売らないし、ただそのまま放置して、10年ぐらいすぎてしまった(おそろしや)。


「ひょっとして売れるのでは?」と思ってたので、近くの引き取り業者を検索してみたんだけど。「不用品買い取り業者」というのは「犯罪ギリギリ」みたいな悪徳業者も多いという怖い情報も目に飛び込んでくる。


どういうことか。「高価買取」などとうたいながら、いざ家に来ると「これは商品価値がないので値段がつきません」「むしろ引き取り料をいただきます」となる。それだけじゃなく、「他に不用品はないのか」などとなり、貴金属とかを法外に安い値段で買い叩かれる、みたいな商法がある(らしい)。うちに貴金属はないけど、もし買い叩く貴金属がなかったら、シンプルに僕が殴られるかもしれない(?)。


ネットの検索で、マトモな業者と悪徳業者を見分けることってできるんですかね。少なくとも僕には難しすぎて、1時間ぐらいで諦めました。結局、自治体の指定する公式業者に引き取りを依頼。出張料と廃棄料を支払いました。「ひょっとして売れるのではと思ってたもの」が、「お金を払わないと捨てられないもの」だと判明したのか。これ、人生のメタファーか。今はお金をもらって翻訳の添削をしてるけど、そのうちお金を払わないと誰にも話を聞いてもらえなくなることを覚悟しろってことですか。まあ、それもしょうがない。


PCの方は、妻も捨てたいPCがあったので、一緒に捨ててくれた。昔書いた短編小説、自主映画の編集データ、翻訳スクールの課題、さらば。なんというか、「もうどうせ見ることもないだろう。というか、見たくない」と思いながらも、「ひょっとしたら売れるのでは」とどこかで思ってきた僕の断片たち。成仏してくれ。

 

5月某日 「見守ることしかできない」というハラハラ感

読んだマンガ。


「ブルーピリオド」山口つばさ…1~6巻。3ヵ月ぐらい前に、どこかのサイトで最初の5話ぐらいを無料でよんでいて。気に入ってたので、また1巻から購入して。これは、すごく気に入りました。大変恥ずかしながら、美大(東京藝大)受験のための予備校に通う主人公に、映像翻訳のスクールに通い始めた頃の僕を重ねたりして(僕はそのころすでに30代だったんだけど)。


描かれている感情が、ことごとく2面性が描かれていて、エモーションに立体感がある。好きなものと出会って夢中になる興奮と、その怖さ。好きなことで人から認められた時の、うれしさと恥ずかしさ。作品に詰め込まれた感情が、薄っぺらくないんよ。なんだけど、展開自体はウジウジせずに前に前に進むドライブ感があって、グルーヴがある。カッコいいな。文化系の題材をスポ根の文体で描くの、引力がある。


「ひらけ駒!」(南Q太)…全8巻
「ひらけ駒!return」(南Q太)…全2巻

これは、1巻を途中まで読んだ時に、「めっちゃいいのでは?」と思った。「将棋に夢中になる人(自分の息子)」のことを、「すべては理解できないだろうと分かってる人(母親)」の側から描く感じが、すごく誠実で、じんわり来る味わいがあるな、と。


「主人公が葛藤して成長する」のがマンガの王道だとして、読者としては主人公に自分を投影して読むんだろうけど、このマンガでは、「将棋に夢中になって、負けて悔しがって、でも将棋に食らいついて」という小学生の息子の姿を、将棋のことはよく分からない(三手詰めの詰将棋が解けたり解けなかったりする)母親の目線から描くので、「葛藤と成長」を、「外から見守ることしかできない」という手触りがハラハラする。


巻数が進むなかで、何についての話なのかやや迷走する不完全な作品ではあるんだけど、その不完全なところも悪くない気がした。

 

「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(赤坂アカ)…23~28巻。僕はこのマンガをすごく肯定したいというか、「いい作品だな、食わず嫌いしなくてよかったな」とずっと思いながら、断続的に追ってたんだけど(1年に1回ぐらいマンガ喫茶で最新刊まで読む、というような)、ついに完結まで読めた。恋愛(や人間関係)への恐怖や苦手意識をこじらせてしまった人たちに、「恋愛は怖くないよ」と励ますような作品。こじらせた人相手にメッセージを伝える時に、陽キャのテンションや文法で伝えるんじゃなくて、こじらせてる人の言葉で伝えてるのがいいと思う。

 

5月某日 「象の消滅」を読み終える

行きの通勤電車の中と、会社に着いてからの20分ぐらいでチマチマ読んできたハルキ・ムラカミの「The Elephant Vanishes」、最後まで読み終わった。短編集のトリは表題にも選ばれてる「象の消滅」。これは、まあすごい作品よな。


「象」が、何かの象徴なんだろうけど、それは言ったら野暮になるわけであって、言わない。「僕らの社会は、生きていくうえで大切な“ぬくもり”のようなものを失ってしまったのさ。あの動物園の象が死んでしまったように」とか書いたら、まるで台なしなわけであって。


ただ、象がどんな存在だったのかを描く。どのように消えた(と思われる)のかを描く。詳しく語ろうとすればするほど、なんについての話なのか分からなくなるのが面白い。そして、恋愛っぽい雰囲気になりそうになった女性に、「象」のことを話すと、関係がギクシャクするのも秀逸すぎる。


読み終わって、次に読みたい本もない。ああ、どこかに行ってしまった僕の読書欲。怒らないから、帰ってきてくれよ。


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