鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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朝の松屋には、なぜか思い出がある

24時間営業の牛丼チェーン(牛めし、ですね)の松屋。夜勤バイト時代にもよく行ったし、朝3時起き生活の現在もよく行ってる。どうしても誰かに伝えたいエピソードを、「松屋」がらみで3つも思い出したので、書いておきたい。

(自分で書いてみて驚いたのですが、ものすごく長文になりました。そして、なかなか信じがたいことですが、どれも面白い文が書けました。騙されたと思って最後まで読んでください!)

 

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夜勤明けの松屋で感動したこと

10年以上も昔だと思う。バイト仲間と、夜勤明けに麻雀を打ちに行くことが定番だった。夜勤シフト20人ぐらいの男子たちのうち、4人メンツが揃ってしまうと、行くことになる。

 

僕は最年長だったから、自分から麻雀に誘うことは自分に禁じていた。後輩に気を使わせるみたいなことが絶対にイヤだったのだ。

 

思えば泣けてくる。将来をないがしろにしてダラダラ人生をこじらせた人間が、麻雀を誘うことについてジェントルマンであろうとしてたなんて、なかなか複雑な味わいの自由律俳句みたいではないか。

 

さて、職場から雀荘の移動中に、メシを済ませたい、となる。そんな時には松屋に行くのが最善手に近い。

 

その日、朝から店内はやや混み合っていて、確か僕らはバラバラに座ったように思う。そして、明らかに店員の人数が足りてない。というか店員が2人しかいない。

 

その店員2人の、コンビネーションがすごくて圧倒された。カタコトの日本語で最低限のコミュニケーションを取り(おそらく2人とも日本語が母語ではない)、阿吽の呼吸で右から左へと「仕事を投げ捨てていく」ように定食やらを提供していく。

 

そこに笑顔はなくて、客への愛想もないんだけど、もうしょうがない。「食えるもの」を「さっさと出してほしい」から、この店を選んだんだ。僕らは、さっさと腹を満たして遊びに行きたい。

 

僕は、2人の店員から、「明らかに2人じゃこなせない量のタスクを、枯れた怒りで集中して片づけていく迫力」みたいなものを感じて、圧倒されたのだ。

 

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早朝の松屋で気まずかったこと

朝3時起きがここ数年の定番の僕にとって、「朝からガッツリ」は、しばしばあり得る選択肢だ。朝6時半に地元の松屋で朝食を済ませてから会社に行くこともよくある。

 

風邪気味だったある日のこと。僕は松屋に入って、ネギ塩豚カルビ丼(名前自信ない)を食べながら、胸ポケットの錠剤をテーブルに置いた。こうしておけば飲み忘れないだろう。

 

そんな時、僕にほんの少しだけ困ったことが起きた。最初にもらったお水が、「コップに6割強」の控えめな量で、薬を何種類か飲むのには、やや足りなそうな量だったこと。

 

おそらく、万が一にもこぼしてはいけない、みたいなことで、注いでいい水の量に決まりがあるのか、あるいは店員さんのクセなのか、「コップに6割強」のお水が提供されている。

 

僕は、「ネギ塩ダレ」の塩感を味わうためにも、途中で水は飲みたい。でも、水を飲んでしまうと、薬が飲めなくなってしまう。普通に水を飲みながら丼を楽しみ、食後に薬用の水をもう1回もらえばいいだけの話なんだけど、店員さんが近くに来ない。

 

朝の松屋で、店員さんが2人しかいなくて、片方は鉄板の前(キッチン?)にずっといて、給仕にくるのは1人だけ、みたいなフォーメーションだったのだ。そんなわけで、僕は水を飲むのを躊躇していた。「ネギ塩豚丼」を食べながら水を飲むと、薬を飲むための水がなくなってしまう。

 

「忙しそうにしているとは言え、遠慮するほどのことでもないな。近くに店員さん来た時に、水のおかわりを頼めばいいや」と思って、水を飲もうとしたその矢先、店員さんが近くに来た。

 

僕は、あわてて「すいません」と呼び止め、「お冷いただいてもいいですか?」と伝える。なんの不自然さもない、普通のリクエストのはずが、店員さんのリアクションがおかしい。

 

「え?」(何を言っているんだこの客は?)という表情で僕を見返してくる。僕は、すぐに意味が分かった。「店員さんが近くに来たら水を頼もう」と思ったちょうどその時に来たから呼び止めたけど、僕の前にはまだ手付かずの水がある。

 

店員さんからしてみれば、「水? え? 今目の前にありますよね?」というような風に思うだろう。

 

「そうじゃなくて、ここにある水は食事と一緒に飲むので、このコップの水がなくなったら、薬用におかわりの水が欲しかったのを先走ってしまったんです。後でまた呼びます。それか、前もってもう1杯別のコップでください」と言うのが正しい説明なのだが、それが咄嗟に出てこずに、僕も店員さんの態度にキョトンとしているだけである。

 

一瞬後、店員さんが、あわてて何かに気付いたような表情になった。

「大変失礼致しました! すぐにお取り替えいたします!」と、あわてて水を取り替えてくれた。

 

「水? 目の前にありますよね?」という先ほどの疑問に、店員さんが自分で出した答えは、「前の客の水を、まだ片付けていなかった! ヤバい、ごめんなさい!」というものだったのである。

 

あああ、そういうわけじゃないんだ、僕のほうが変なタイミングでおかわりを要求しただけなんだ、と説明する余裕もなく、僕の目の前には、新しく注ぎ直した水が用意された。やはり、「コップに6割強」の分量で!

 

もう一度おかわりを貰う勇気は、僕にはなかった。ムダな謝罪をさせて本当にごめんなさい、あの日の店員さん。

 

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正月の松屋で驚いたこと

僕は、20代の頃夜勤で働いていた。作家志望、映画監督志望のサブカルクソ野郎なので、少しでも高い時給で働いて、自分の芸術活動(「ああ、俺は天才なのになんで誰も気づいてくれないんだろう」というクソな自問自答が9割)の時間を確保したかった。コールセンターの夜勤バイトはうってつけだった。

 

21時から9時の12時間拘束のシフトで、その間に3時間の仮眠時間がある。当然腹ごしらえもしたいが、夜中なので選択肢は限られる。松屋には度々お世話になった。

 

コンビニ、ファミレス、松屋、coco壱番屋、富士そばとか、夜勤の間に行く店では、当然夜勤のアルバイトが働いている。僕は、複雑なシンパシーを感じていたものだ。「同じ夜勤バイト同士」というかすかな連帯感が少しと、「コールセンターのほうで働く僕の方が、時給は高いよな、たぶん」という、弱者から弱者への優越感も正直少しあったりして。

 

松屋には、1人アフリカ系の従業員がいて、40代後半のおじさん店員とよくコンビを組んでた。なんというか、なんらかの縮図がそこにはあるではないか。どう考えてもまともな時給が出ているとは思えないおじさんが、カタコトの新人バイトに仕事を教えながら働いているのだ。

 

僕は、見下すような目線で彼を見てはいけない、というようなちょっと不自然な気持ちもありながら彼を見ていた。そのアフリカ系の店員が多分、「外国に来て働いている」という時点で「人間としての能力値は彼が1番高いんだろうな。相当のエリートになるかもしれない」みたいなことも少し想像してた。サブカルクソ野郎の僕や、「60代人生疲れすぎ泥酔居眠りじじい」も客にいて、「縮図感ハンパないよここ!」なんて感じてたりしていました。

 

時は流れ今年の正月。365日休みなしの職場なので、僕も2日が勤務日だった。駆け出しの翻訳業も正月に仕事を受けていた(「正月ぐらいは休む」というベテランがいると、新人にも仕事が回ってくる)ので、朝3時起きで仕事をして、6時にいったんケリをつけて家を出た。

 

松屋は正月でもやっている。僕は自宅から駅に向かう途中にある松屋に入って、食券をテーブルにおいて座った。約1秒後、席から思わず立ちたくなるほどの驚きが僕を襲った。

 

「10年も昔の夜勤バイト時代に、勤務先の近くの松屋で働いていたアフリカ系店員」が、そこにいるではないか!

 

そうか、正月だから、普段は別店舗に勤務の彼が、この店にヘルプで来てるのか、と推察した。彼は気づいていないだろう、10年の時を経たこの奇跡の再会を。

 

「事情は知らないが、まだ松屋のアルバイトやってんのかーい! もう、他の店にヘルプに来るぐらいだから、業務はほぼ完璧なんだろう? 時給は上がったかな? 上がったよね? でも、バイトがもらえる範囲での時給で・・・ え、日本語ペラペラだよね? ほかに仕事ないの? エリートになってないのかよ! でも、元気だったんだね。僕も元気。夜勤から早番に変わったけど、まだ社員じゃなくてバイトだよ。 時給上がったよ! バイトがもらえる範囲で・・・ 30代で英語クソほど勉強して、翻訳業始めたけど、まだ全然稼げてないよ・・・」

 

と、僕が心の中で叫びながら「ネギ塩豚カルビ丼」をかき込んでいたことを、彼は知らないだろう。そこには、確かに何かの「縮図」があったはずなのだ。ネギ塩豚カルビ丼、いつもより少ししょっぱかったのは言うまでもない。

 

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