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【日記】Mリーグレギュラーシーズン最終戦、松ヶ瀬選手の「負け方」に痺れた件(48歳になってもHIPHOP入門53)

2025年3月某日 「望みがなくても手は抜けない」ドラマがアツすぎた

大詰めなんである。何が。Mリーグ2024-25のレギュラーシーズンが。ちょっとグッときたシーンがあってので、メモしておきたい。何がよかったかというと、「もう敗退が決まった」という状況での選手の打ちまわしが、真剣過ぎて泣けた、っていう話。

 

9チームで戦うMリーグは、1チーム96試合のレギュラーシーズンをやって、その時点で下位3チームが足切り、6チームがセミファイナル進出というレギュレーション。

 

この、96試合目(レギュラーシーズンとしては最終日の前日なんだけど、この日に出場する4チームにとっては最終戦)。暫定8位の風林火山(※チーム名)は、6位勝ち抜けのために35万点のトップが必要な状況だったらしい。今までのMリーグ(今季入れて7年)での最高スコアが11万点ぐらいだったことを考えると、この35万点というのは事実上「逆転不可能な点差」と言える。つまり、この最終戦に起用された松ヶ瀬選手は、「敗戦処理」というツラい仕事を任されての登板だったんだけど。

 

こんな時、選手は何を思うんだろう。「ほんの少しでも可能性がある限り諦めない」ということなんだろうけど、でも、「ほんの少しの可能性がある」というよりは、「絶対にムリ」と言った方がだいぶ近い状況なのは、よく分かっているはずなんである。

 

でも、一応は可能性が残ってるというのはウソではない。麻雀には、親(最初に手番が来る人)でアガると、もう1回親を続けられる「連荘(レンチャン)」というシステムがあるので、その間は試合終了にならないからだ。

 

だけど、現実には南1局の親も流れてしまって南2局。いよいよ、本当に敗退が確定した状況。ここで松ヶ瀬選手はどうすればいいか。囲碁や将棋であれば、負けを認めて投了できる。でも、麻雀は4人でやるゲームなので、途中退席をすることは許されないわけで、「ツモって、手牌から何か1つを選んで切る」を繰り返さないといけない。そして、「観戦競技」としてやっている以上、その選択をファンにずっと見られているのである。

 

すごい状況だな。自分にとっては勝っても負けても無意味なんだけど、その絶望の中で何をするのか、ファンに見られてる、という。当然手は抜けない。でも、この場面で、「手は抜けない」って、どういうことなんだろう。

 

これが、難しい問題なんである。もう敗退の決まった選手がアガったり振り込んだりしたら、それは「勝負に水を差す行為」として、「プロ失格」というような考え方も昔から根強い。実際、7位のサクラナイツと6位のAbemasがセミファイナル進出を懸けて戦っている。サクラナイツが逆転できる可能性は0.1%ぐらいの状況ではあったんだけど、それでも、その決着が「もう可能性が残ってない選手の適当な一打」で決まってしまっては興ざめなわけであって、それは避けたいところ。つまり、敗退は決まってるんだけど、「プロにふさわしい選択」は求められている状況だった、という。

 

だから、ここで「もっともプロらしい選択」は、「アガらない」「振り込まない」「ポン、チーもさせない」という、そういう考え方がある。まったく手を進めずに、「初手からベタオリ」という選択。

 

だけど、「初手からベタオリ」が本当にいいのかは、かなり疑問がある。その打ち方は、上家に対して有利に(「チ―させない」と気をつけずに済む)、下家に対して不利に(チーできない)働いてしまうので、はたしてそれが見ていて面白いのかどうか。実際、松ヶ瀬選手の上家のドリブンズ園田選手と、下家のAbemas白鳥選手はシーズンMVPが懸かっている状況だったし、この日対局のない他のチームにとっては、風林火山がベタオリするのは損(トータル1位のドリブンズが得点を伸ばす可能性が増す)、という状況でもある。

 

あるいは、「初手からオートツモ切り」という選択もあるらしい。なるほど、どんな行動を取っても他者に有利不利を与えてしまうなら、せめて「自分が選んだ結果ではなく、牌の積まれた順番に運命を委ねる」ということか。ある意味潔い選択かも。ただ、この「選択放棄」がプロらしいかどうか。少なくとも、見ていて面白いとは言い難い。

 

結局、松ヶ瀬選手は「初手からベタオリ」は選択しなかった。「たとえ敗退は決まっていたとしても、この試合だけでもトップを目指す。トップが無理なら2着、2着が無理なら3着と、1つでも上の着順を目指す」という打ち方を選択した。局面としても、そちらの方がスリリングになるので、「見せる麻雀」としてそちらの方が「プロらしい」ような気もする。つまり、1周まわって「いつも通り打つ」ということか。


さて、この選択がドラマを呼ぶ。南3局2本場。松ヶ瀬選手から園田選手への役満放銃。「適当に打った結果としての放銃」ではない。放銃の一巡前に、アタリ牌の「一萬」を一度止めているのだ。国士無双以外には当たらない牌であって、国士無双テンパイの可能性を考えなければ止めない牌だった。じゃあ次の巡になぜ振り込んだか。松ヶ瀬選手自身がテンパイしたからだ。自分がテンパイしているのであれば状況は違う。園田選手が国士無双をテンパイしているかは分からない(テンパイ前かもしれないし、オリていて、国士無双でもなんでもないバラバラの手牌かもしれない)し、テンパイしていたとしても「一萬」以外にも危険牌は残っていて、「一萬」が振り込みになるかは分からない状況だった。着順アップを狙うリーチを選択するのは「プロらしい一打」として責められない選択だった。

 

結果、リーグ戦7位サクラナイツの堀選手の親が流れて、0.1%残っていたサクラナイツの可能性にトドメを刺した。そして迎えた南4局。いよいよ松ヶ瀬選手と、堀選手には「本当に何もやることがない」局面。わずか1000点差になったMVP争いの園田選手と白鳥選手を「邪魔しないこと」がテーマになる(チーム戦としての大勢は決したが、今度は個人タイトル争いが焦点になっている状況)。その南4局。早々に園田選手のリーチ。ここがすごい。松ヶ瀬選手は園田選手に振り込まないだけでなく、アガリを目指す白鳥選手にチーさせないように打牌を選び続ける。苦吟の表情。プロとしてのプライド以外何も懸かってない状況でのベタオリ。そして流局。

 

この、松ヶ瀬選手と堀選手の「ベタオリ」によってMVP争いは僅差を保ったまま南4局1本場へ。ここで園田選手が満貫ツモで白鳥選手を上回り連荘。南4局2本場で白鳥選手が跳満ツモで再逆転する、というドラマが起きた。2人の魂のベタオリが演出したとも言えるわけであって、「いいもの見たな」と思ったよ。カッコよかった。「敗退が決まった状況で試される意地」、シビれました。

 

(※追記:暫定MVPだった白鳥選手も、自身が休みのリーグ最終日に追い抜かれる。それもアツい展開だった)

 

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