鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

スポンサーリンク

【日記】「ケーキの切れない非行少年たち」が身につまされすぎる件(48歳になってもHIPHOP入門㉙)

2025年2月某日 見てられないのに目が離せない

マンガ「ケーキの切れない非行少年たち」(原作 宮口幸治/漫画 鈴木マサカズ)の感想をメモしておきたい。

 

少年院に収容された少年少女たちを、精神科医の目線からルポ風に描く。「ケーキを3等分せよ」という簡単な問題が解けない(想定された模範解答は、円の中心から120度でベンツのマークのように線を引くというものだが、その図が発想できない)少年が一定数以上いるらしい。認知機能に困難を抱える子どもたちは、「悪事を反省する」ことも難しい。「因果関係」とか、「優先順位」とか、「原則と例外の違い」とか、「言葉と感情の違い」とかを理解することが苦手だったら、「やっていいこと/いけないこと」を区別できないだろう。

 

 

(↑Amazonのリンクです)

 

これが、身につまされるんである。「困難を抱えた特殊な人たち」とは到底思えない。より具体的に言えば、僕の職場(コールセンター)にも”ケーキの切れない大人たち”の予備軍がたくさんいそう。

 

電話対応の受け答えを教える時に、いろいろある「コツ」について、いくら教えてもピンとこない新人なんていくらでもいる。「適切なクッション言葉を選ぶ」とか、「同じ言葉でも、状況が違えば失礼だと思われることがある」などの電話対応のコツを理解できず、お客を怒らせてしまう。お客の状況を想像できないので、どういう順番で説明したら伝わりやすいか考えられないし、そもそもお客の話が聞き取れず、同じセリフを何度も言い直したりする。

 

会話が噛み合っていないことを理解できてないから、お客が不機嫌になると、お客の性格が悪いとしか思えない。「これは私じゃなくてお客が悪い」というのは、精神衛生上決してNGとは言わないけど、自分のやり方を直せないと、結局は似たようなことが繰り返されてしまう。そんな、”コールセンターあるある”を思い出した。

 

そして、僕自身にだって身に覚えがある。いつもじゃないけど、「善悪の区別をつけるなんて面倒。ムカついたらそれを発散させても、自分が悪いとは思えない。自分をムカつかせた”世界”の方が悪い」と思っちゃう幼稚な自分が僕の中にいて、普段はそういう”ケーキの切れない”自分をうまく飼いならしてるけど、いつか、そういう自分に考えが支配されてしまうことだって想像ついちゃう、みたいな感覚。

 

「情報多すぎて、処理を雑にしないと対応できない」なんて、現代人あるあるというか、むしろ必須スキルみたいな気がする。むしろ、「丁寧に物事を考えるなんてメリットあるのかよ」というような無力感が初期設定じゃないか。与えられた環境次第では、犯罪に手を染めることなんて、誰にだってありそう。しかも、「巻き込まれた」と思って、自分の責任だとは思えないのも想像できる。その意味で、「ケーキの切れない非行少年たち」は「見てられないのに目が離せない」マンガだった。

 

紹介されるエピソードのリアリティはもちろんのこと、マンガとしての演出も実はかなりよくて。少年少女たちの表情が、妙にリアリティがあるのよ。「表情」というか、「無表情」か。「自分の感情や、自分の責任にピンと来てない精気のなさ」が他人事とは思えない。精神科医や家族、刑務官の葛藤を掘り下げて、ドラマを盛り上げることもできそうだけど、あえてそれをしない潔さもよかった。すごくツラい問題なんだけど、冷静に問題を受け止めている描き方自体に救いがある、のかもしれない。

 

(続きはこちらです↓)

www.savacan3rd.com

 

(1つ前の日記はこちらです↓)

www.savacan3rd.com

 

スポンサーリンク