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【日記】マンガばかり読んでるうちに年を取る⑤(通過儀礼に憧れてしまうこともある)

2023年3月某日 通過儀礼に憧れてしまうこともある

読んだマンガメモ。

「ライジングサン」(藤原さとし)…6~15巻。もう、この作品のことは好きになってしまって、最後まで止まらずに読んでしまった。初めて実弾を使った射撃訓練をするところとか面白かった。どういうリアリティで緊張するのか、不条理コントのような厳しさと、候補生たちの素朴な内面が相互作用で迫力があった。一番揺るがないヤル気を持っていたように見える主人公が、(物語上の)大きなきっかけもなく自分を見失う(ヤル気をなくす)のも、むしろ安っぽくなくてよかった。


読んでいて思ったのは、僕の中にあって、どうしても消せない「一体感」へのあこがれ、みたいなこと。「通過儀礼」を通過した者だけが持てる連帯感、実生活ではそんな考えはむしろ嫌いなはずなのに、嫌いだからこそ、「ひょっとしたら素晴らしい輝きがあるんじゃないか」みたいなことを思うのかもしれない。


そういう憧れを、「克服できてない」みたいに感じたんだよな。例えば、「連帯責任」で、誰かがミスした時に班の全員が罰を受ける(腕立て伏せをさせられる)みたいなのが、「ひょっとしてそういう不条理を乗り越えた先には本物の強さが手に入るのでは?」みたいにまぶしく、うらやましく感じてしまう、というような。


何となく嫌いだった“体育会系ノリ”の究極系を見て、もっとちゃんと嫌わないと、飲み込まれるぞ、と思い直して。あわてて考えた。「連帯責任はむしろ責任をあいまいにさせて逆効果」「後出しで科す罰はただの暴力。ミスをした原因と関係ないし、成長につながらない」「通過儀礼は、それをやり遂げた人間にとってはいい体験になるかもしれないけど、それは、脱落した人に残す深い傷を正当化できるのか」とかかな。


まあ、でもこんな僕でも夢中になって読めたんだから、作品の引力は相当なものだったような気がします。続編も読みたい。


「牌族オカルティ」(片山まさゆき)…1~2巻。Kindle Unlimitedに入ってるのを見つけて、15年ぶりぐらいに読み直してる。「好きなマンガだったんだけど、わざわざ買い直すほどでもない」みたいな感じで、ひょっとしたらもう一生読まないかもしれなかった。いいじゃん、Kindle Unlimited。


この前「ウィッチウォッチ」を読んだ時に、「油断して読めるマンガってあるな」って思って。たぶんそれって人によって違ってなかなか数値化しにくい要素なんだろうけど、そういう「よさ」もあるんじゃないか。ギャグセンスやオタク知識を試されることがなくて、「この程度で好きになってたまるか」というガードなしに読めるマンガ。


それで、「油断して読めるマンガ」として思い出していたのは、片山まさゆきの麻雀マンガ。絵も、キャラもストーリーも、到底「マジになって描いてる」とは思えない力の抜け方(プロの技術で適当に見せてるのか、それとも本当に適当なのかはちょっと分からない)。あんまり、気合入れて読むことを求められてない感じがして、ダラダラ読める。で、心のガードを下げた状態で読むものだから、なんか登場人物たちに惚れちゃう瞬間があるんだよな、という。(「ノーマーク爆牌党」、「牌族オカルティ」、「打姫オバカミーコ」をイメージしてます。「スーパーヅガン」や「ぎゅわんぶらあ自己中心派」はギャグが結構トバしてて、油断できない感じはあります)


で、それでまた読みたいな、と思ってたから、Kindle Unlimitedに入ってるのを見つけた時はうれしかったな。読み直してみて、「記憶の中で思ってたよりは別に面白くないな」と思ってるんだけど、その「大して面白くないな」っていう感想も気楽に思えて悪くない。続けて読むつもり。


3月某日 「バイオレンス&美学」かよ

今週も映画を見に行ったんだけど。「バニシング・ポイント」。昔の映画(今調べたら1971年だって)のデジタルリマスター版、みたいなやつ。


見てる途中何度かウトウトする時間があったんだけど(作品がつまらなかったんじゃなくて、シンプルに眠かった)、帰ってきて検索したら、だいたい話は理解できてた。


主人公がどこに向かってるのか(いやまあ、サンフランシスコなんだけど、そういうことじゃなくて、何を達成したいのか)、どんな気持ちでいるのか(怒ってるのか、むなしさに圧倒されてるのか、諦めてるのか、ヤケになって楽しんでるのか)、分かりそうで分からない。「起承転結がなくて退屈」とも思う一方で、「美学がダイレクトに伝わって痛快」とも言える感じ。


アメリカン・ニュー・シネマっていうのか。この、「バイオレンス&美学」みたいな雰囲気映画。それで、主人公の気持ちを探そうとすると疲れちゃう感じ。「こんなタイプの映画なのね」という、腑に落ちるためのフォーマットを知ってた方が楽しめるかもしれないな、とか思った。


「ザ・ワールド・イズ・マイン」もそう思って読むと読めるのかもしれないな、と連想した。ちょうと20年以上読まず嫌いだったマンガを読もうとしていた時に、そのマンガの読み方を示唆するような映画を見た偶然がいいな、と。

 

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