2022年4月某日 「物静かな上司」でも結局ムカつくのかよ
以前書いたコラムで、「朝礼でジョークを言う上司は嫌い」みたいなことを書いた。朝礼を聞き逃すと仕事に支障が出るかもしれない以上、部下としては上司の話がどれほどくだらなくても聞かざるを得ない。そんな場面で、周囲を和ませる意図だろうが余計なジョークを入れてくるのは、権力の乱用だ。本質的には「飲み会でお酌をさせる」のと変わらない、というようなこと(我ながら、心が狭いなあ、と思います。毎回本気でムカついてるわけじゃないです)。
この4月から、職場のチームに新しく配属された男性社員が、3人とも物静かな人で、声も小さくて。それがムカつくんである。黙ってたら黙ってたで「偉そうだな」と感じてしまう(相当無理やりな言いがかりだなあという自覚はあります)。
要するに彼らは、自分が人を評価する立場になったことを、理解してないんである。どんなタイプのコミュニケーションでもいいから、「自分は不機嫌ではありません」と、周囲に示せないなら、それは威圧的な態度と変わらない。本人は、まさか自分が威圧的な態度を取ってるとは思ってないだろうな。
採用面接や新人研修なんかで、自分の立場が優位になり、「自分が偉くなった」と勘違いして、パワハラ的な言動を取る、みたいな話をしばしば目にする。残念ながら「職場あるある」なんだろう。
でも、「自分が偉くなったことに気づいてない」っていうパターンも結構あるんじゃないか。有給休暇を申請したとして、その理由を聞く場面を想像してみる。同僚同士ならただの雑談になるかもしれないけど、それを受理するかどうか決める権限のある立場の人が理由を聞いたら、「理由によっては有給を認めないよ」という圧力が生じてしまう(まあ、僕は同僚だったとしても休みの理由は聞きませんが)。
人を評価して、管理する立場になった彼らが「目も合わせず、ロクに挨拶もしない」ということの意味は、もはや新人時代とは違う。「不器用でかわいい」じゃなくて、「何を考えてるか分からず、怖い」になってしまう。権力とは、そういうものだ。
ここまで書いて、「俺、さすがに若手社員をやっかみすぎだろ」と笑えてきた。「余計なことは話さず、かつ上機嫌。声の大きさも場面ごとに完全に適切」と、僕の望む上司像にピッタリマッチする人なんてなかなかいないだろうし、要するにそもそもやっかんでるので、気に入らない部分をピックアップしてしまうんだ。僕が未熟なだけです(反省)。
(以前書いた、我ながら心の狭いコラムはこちらです↓)
4月某日 「個人差あり〼」を読んだ
「個人差あり〼」(日暮キノコ)を読んだ。「平凡なサラリーマン」だった主人公(32歳、男性)が、身体ごと女性に変わってしまう、という話。
登場人物たちの葛藤を大げさに演出しすぎずにストレートに描く、血の通ったドラマで、楽しんで読める。「女性の生きずらさを、男性目線で体験する」みたいな導入なんだけど、「考えさせられる作品」というよりは、エンタメとして読めて、自然に共感できた。相当ムリのある話で、かつ相当半端ない前向きなハッピーエンドに行き着いたのに、「自然に共感できる」なんて、たぶんすごいマンガだ。
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4月某日 「マイホームヒーロー」を読んでる
「マイホームヒーロー」(原作:山川直樹/作画:朝基まさし)を読んでる。「名作っぽい雰囲気をした駄作」なような気がしてきた。でも、そのダメなところがいいのかもしれない(自分でもよく分かってない)。「第1部」では、隙のない構成でサスペンスを持続させていたのが、「第2部」では、ちょっと崩壊気味なような気がする。
運悪く半グレ組織と敵対することになった鳥栖哲雄。温厚な性格で、家庭でも職場でも真面目そのものな「平凡なサラリーマン」である哲雄は、推理小説で仕入れた知識だけで、犯罪者集団にワナを仕掛け返す。果たして勝てるのか… みたいなあらすじ。
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それが、第2部になって、「妻の実家はカルト宗教の教団」「かつて哲雄は、妻をカルト村から救い出した」みたいな設定が出てきて、そのカルト教団とも戦うことになる展開。話の展開は派手になってるけど、「なんだよ。元から平凡なサラリーマンじゃなくて、ヒーローだったじゃん」となって、どういう気持ちで読んだらいいのか分からなくなる。半グレ組織のリーダー格の「窪さん」が、「傭兵経験もある最強の殺し屋」だと分かるくだりも、「スーパーサイヤ人だらけかよ」みたいな気分にさせられる。
まあでも、それでマンガ自体がつまらなくなるかというとそうでもなくて、僕は案外第2部も好き。「緻密な構成とかもう知らん。好き勝手やってくれ」みたいな気分で読むのも、読者としては気楽に読めて悪くない気もするから。
(それにしても、あらすじを説明する時に出てくる「平凡なサラリーマン」て何なんだよ。「個人差あり〼」の感想を書く時も使ってしまった。「物語内で起きたきっかけさえなければ、物語の中心となる特殊な状況に巻き込まれるはずはなかった」という意味かな。いや、「まだヒーローになる前の」とか「特別な才能もモチベーションもない」とかの意味も含まれてるか。便利だな「平凡」。使うのはしょうがないか)
(続きます)
(1つ前の日記はこちらです↓)