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2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【日記】マンガばかり読んでるうちに日が暮れる(014)

2021年6月5日(土)ネタばらしのガイドラインを決めてなかった件


「34歳無職さん」(いけだたかし)を読んでる。

 (↑Amazonのリンクです)

 

そういえば、この日記ではマンガの感想がたくさん出てくるけど、自分の中で「ネタバレ」「ネタばらし」のガイドラインを決めてなかったな。


僕は「ネタバレを絶対許さない」みたいなのにどちらかというと抵抗があって、ということはネタバレOK派なんだと自分でも思うんだけど(このブログで気にしてもしょうがない、という意味でのOK、ということ。むしろ、本来であればもっとディテールを書かないと感想文としては面白くないと思うんだけど、ちょっと無能すぎて上手く出せていない)。


だけど、それでもやはり、「やっちゃいけないネタバレ」はある気がする。その線はどこにあるんだろう。例えば、「ドラゴンボールの悟空は地球人ではなく、サイヤ人という宇宙人だったことが、物語の途中で判明する」っていうのは書いても別にOKだと思うんだけど、じゃあ何がダメなのか。やっぱり推理モノの犯人やトリックとかかな。他にもありそうな気がするんだけど。


よくあるのが、「最後のどんでん返しが意外すぎて面白い」みたいな紹介のされ方。どんでん返しの内容はバラしてないんだけど、「どんでん返し」って、「起きるはずと思ってないことが起きる」のが面白いわけであって、「ラストにどんでん返しがあるよ」は、一番言っちゃいけないことなような気がする。


ああそうか。「その作品を未読な人への紹介に、入れていい情報かどうか」ではネタばらしの是非がありそうだけど、既読の人を対象にした感想の共有だとしたらむしろネタばらしを気にすること自体がナンセンスなわけであって、僕はこの日記の主旨がなんなのか自分で分かってないから、迷ったりするのか。


ええと、この日記の主旨は、「自分のためのメモ」「書くという行為の習慣化」「書くと、自分の喜怒哀楽が“標本化”されて、忘れてもいいものになる気がする。気のせいかもしれないけど、セラピーとしての日記」「その題材としてのマンガの感想」みたいな感じ。


そうか。今ガイドラインが決まりました。「基本的には、ネタばらしには特別な配慮はしません」だ。そうします。その上で、「その作品の面白さを大きく損なう可能性の高いネタばらし」をするときには、事前にアラートを入れればいい。(いや、それも面倒だな。そんな基準は人それぞれなんだし、「こっちは特に配慮してないので自衛してください」の方がいっそ潔い気がする)


浦沢直樹の「PLUTO」で、僕はアトムが出てくるページがものすごく好きなんだけど。それは、アトムが、かなり高性能なアンドロイドで、「ほとんど完璧に人間と見分けがつかないほど」なんだけど、それでもやっぱり「人間にしては美しすぎる」ということが、アトムが登場した最初のコマで伝わってくる。

 

 (↑Amazonのリンクです)


それで、僕はこの感想を、「ネタばらし」としてあまり言わない方がいい、と普段思っていて。「PLUTO」は、鉄腕アトムのカバー、リミックスなんであって、アトムが登場すること自体は「当たり前すぎる当たり前」なんだけど、でもその「当たり前」が「極上の驚き」となることは、読んだ当時相当に興奮した。で、そのことは事前に知らない方が楽しめるんじゃないか、っていうことなんだけど。(だけど、この日記では特に配慮しない、って決めたので書いた。「掘り出し物を紹介」「最新作を紹介」みたいな主旨で書くときは気にしようかな)


(さて。「34歳無職さん」の感想はまた明日に書きます)


6月6日(日)「34歳無職さん」の感想

さて、昨日さんざんネタバレアラートを書いたので、「34歳無職さん」の感想を書き始める。


(※この作品はものすごく面白いです。そして、「どんな作品なのか」を知らずに、先入観なしで読み始めるのが一番面白いと思います。もし、「読んでみたい」というつもりの人がいたら、ここから先は読まないほうがいいかもです)


「これは、チェーホフではないか」と。つまり、「大事な事件」は舞台の上では起きない。トレープレフがかもめを撃った瞬間も、ロパーヒンが櫻の園を落札した瞬間も、舞台上に出てこない。「すでに起きてしまったこと」と、「これから起こるはずのこと」の間の「何もない時間」をひたすらに描いていく。


会社をやめて無職になった女性が主人公。読者である僕はには、名前も知らされない。主人公の「無職さん」は、1年働かずに「何もしない」ことに決めたらしい。


「34歳女性の一人暮らし」のディテールの描写が、淡々と積み重ねられる。自由律俳句みたいな、ちょっと気の利いたミニタイトルで、日記のようなささいなエピソードが語られる。「マイペースな日常をまったりと味わうマンガ」なのか、となんとなく思い始めたタイミングで、「無職さん」には、「離れて暮らす子どもがいる」ことが分かってくる。


これには僕は驚いた。そう言えば、「無職さん」は、「一人でダラダラすること」があまり得意でないような気がする。小さな失敗を気に病んでしまう。真面目な性格で、いつも自分を少しずつ責めているように見える。どうやら、「無職さん」は、夫と娘と別居している。自分の娘をひどく叱りつけてしまったことが原因の一端らしい。無職さんは、その過去を悔いていて、そんな自分に狼狽し、緊張している。


そんな背景を知ると、「特別なことの起こらないいつもの日常」が別の意味に見えてくる。息をひそめて、歯を食いしばるように、穏やかな自分を自分に馴染ませてる時間というか。「感情を爆発させずに、メンタルを保つこと」のなんと難しいことよ。一人暮らしのアパートに、娘が泊まりにくるのに、無職さんは「緊張」するのだ(!)。なんたる弱さ。そんなの、感情移入せざるを得ないじゃないか。


ああ、無職さんよ。僕も、この人生のままならなさに、ずっと圧倒されています。子育てで余裕をなくした時間をいくつも経験しました。冷静で穏やかだと思っていた自分が、こんなにも怒りっぽくなるのかと、混乱し、狼狽しました。今も緊張しています。ああ、無職さんの幸せを祈ります。そうやって誰かの幸せを祈れることは、ほんの少しだけ僕の心を温めます。

 

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