鯖缶@3rd&forever

2児(娘8歳、息子6歳)の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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【映像翻訳】仕事のスピードを4倍にするまでに僕がしてきたこと

英日の映像翻訳者になって5年目。新人の頃と比べて、「4倍」のスピードで仕事をこなせるようになった。そのために僕がしてきたことをメモしておきたい。

 

(もくじ)

英語力を上げる

当然といえば当然なんだけど、一番即効性があり、持続性があるのが「英語力のアップ」。「急がば回れ」で、地道に英語力を上げるのが結局は一番の近道になる。


僕がやったことの中で、一番英語力アップに役に立ったのは「NFL(アメフト)をネット観戦しまくる」というもの。語学学習は、結局は「量」が決め手になるじゃないですか。


以前、翻訳者が集まるセミナーに参加したときに、自己紹介で「NFLが好きで、100試合は毎年見ています」と話した。1人の方が「それはなかなかクレイジーですね」と反応してくれた。NFLはシーズンが短い(5ヵ月)ので、「年間100試合」の実質は、「正味2時間半の試合を毎週5試合」だとその人は知ってたからだ(日本のNFLマニアには、僕よりも試合を見てる人はいくらでもいるんだけど)。


好きなものにどっぷりハマっていく、というのは、当然「集中力が高い状態で英語に触れられる」ということであって、学習の質としても案外悪くない。


もう1つは、「受注した案件を隅々まで味わう」という勉強。「スピードを上げる」という話をしているのに「贅沢に時間を投入」というのは逆ベクトルにも思えるけど、「急がば回れ」だ。


ドキュメンタリーなら、登場する人物や事件の英文記事を読みまくる。ドラマなら、自分の担当以外のエピソードでも見まくる。(実際には、「好きな案件」だけでもそうするとちょうどいいかもしれません)


「英語を学ぶ」というより、「英語を使って、英語を通して何かを知る」というイメージ。興味ゼロの状態から学習素材を探すよりも、「好きなもの」「仕事で手元にあるもの」を使って勉強するのが質・量ともに確保できそう。

 

手順を固定化する

「案件を受注してから、納品するまで」の手順を、僕はだいたい毎回同じ手順でやるようにしている。「語学力」や「翻訳センス」を向上させるのは簡単ではないけど、「手順なら直せる」からだ。何回かに一度振り返って、省けそうな手順を探したり、集中力をキープできそうな順番に変えたりする。


また、「翻訳のスピードを上げる」より「作業の重複を避ける」のはイメージしやすい。事前に決めた手順でやることで、仕事が行ったり来たりしなくなる。

 

とりあえず着手する

どんな仕事でも、一番めんどくさいのは「はじめの一歩」じゃないですか。


早朝3時から6時が翻訳のための時間にしている僕は、前日の寝る前に「少しでも仕事に触っておく」ことを意識している。10枚だけハコ切りをするとか、その案件用のフォルダを用意するとか、その程度のことでも翌朝の仕事スタートが大分違う。

 

起きてからも、文字どおりすぐに仕事を始める。布団から出たら5分後には仕事を始めてしまう。その時はスマホのタイマーを6分(別に何分でもいいです)にセットして、「まず6分だけやる」と決めて、仕事を始める。コーヒーを用意したりは、そのあとでいい。

 

とりあえず“ゼロ稿”を上げる

スティーブ・ジョブズの「もし今日が人生最後の日なら、今日するつもりのことを本当にやりたいか」っていうやつ。僕も考えてみたことがある。


(引用元として、スタンフォード大公式の動画リンクを貼っておきます↓)

Steve Jobs' 2005 Stanford Commencement Address - YouTube


「自分の今の仕事が本当にやりたいことか自分に問え」っていう話だと思うんだけど、僕にとっての翻訳はどうなんだろう、と。


もしもやりかけの仕事があるとしたら、できれば仕上げてから死にたいな、とか思った。そして、まだ未着手の仕事なら、たぶんやらないな、とも。


ここで僕が何を言いたいかというと、「僕は翻訳を愛している、ありがとう」っていう話じゃなくて、「半分ぐらいまで仕事が進んだ状態なら、それを最後まで完成させたい、という欲が出るよね」という話である。


だから、僕はまずは“ゼロ稿”をとにかく仕上げることにしている。「クオリティは無視していい、分からない部分はパスしていい」というルールで、とにかく最後まで終わらせる。この間は、調べ物もしない。


なんとか泥臭く、最後まで「穴あきだらけ」「解釈が雑な部分あり」でも“ゼロ稿”を作ってしまう。そうすると、「さっさとこれを完成稿にしたい」と思える。それに、「難しそうな箇所、調べ物が必要そうな箇所が、どの程度あるか」が把握できるので、焦らずに済む。


「意欲を増やして、焦りを減らす」ことで、集中力を保ちやすい状態を、いち早く作るということだ。


やらないことを決める

たとえば、45分の素材を1週間の納期で受けたとして。その案件に費やす時間を決める。20時間で仕上げたい。20時間をどう使うか、を割り振るイメージで、「やること」「やらないこと」をあらかじめ決めるのがいい。

 

(実際には20時間では終わらないことも多いのですが、いずれにせよ「使える時間」は事実上有限なので、それをどう割り振るか、という方針を事前に立てるのは重要だと思います)


ドラマなら、僕は自分の担当エピソードの前2回と後1回は見ることに決めてる。“ゼロ稿”が仕上がった段階で、前後のエピソードをチェックする。登場人物のキャラとか、前後に関係するワードなどを把握すると、回り道のようでいて、結局自分の担当分の翻訳がスムーズに判断できるようになるからだ。


逆に言うと、「それ以上は見ない」と決めている。「それ以上のギャラは貰ってない」し、「リライトやチェックに費やす時間を削ることになって、結局はクオリティを落とす」と思うからだ。


「意訳の申し送り」も基本的にはしない、と決めている。説明や言い訳が必要なら、その意訳は検討の余地があるだろうし、ピッタリハマる意訳なら「原文の意味は~~ですが、○○を考慮して、訳案のようにしました」なんていう説明は要らない。「書いた原稿こそが仕事の成果物だ」でいいじゃないですか。(先輩方よ、どうか笑わないで。駆け出しの翻訳者にとっては、度胸がいることだと思います)

 

僕のマイルールが妥当かは分からないけど、重要なのは「決めている」こと。やるかやらないかで迷っていいても、その時間で原稿のクオリティは上がらない。決めてないことは、修正できない。まずは自分で決めて、具体的な指示なりフィードバックがあれば都度修正すればいい。

 


おわりに

少し前に、「映像翻訳者のギャラが安すぎる件」というコラムを書いて、その続編のつもりで書きました。相変わらず翻訳稼業は楽ではありませんが、「新人の頃に比べて4倍の速度」というのは本当の話です。


「ベースとなる実力を上げる」と「集中して仕事ができる時間の割合を上げる」の組み合わせで、特に魔法のような手段はありませんが、少しでも参考になる部分があればうれしいです。

 

(よろしければあわせてどうぞ↓)

www.savacan3rd.com

 

(「NFLで英語を勉強」ついて書いたコラムもあります。NFLのブログに書いたものです↓)

nfl.savacan3rd.com

 

(「映像翻訳者になるまで」を振り返ったコラムです↓)

www.savacan3rd.com

 

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