鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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子どもに将棋を教えることについて語るときに僕の語ること②(「将棋王にオレはなる!」*008)

子どもに将棋を教える話の続き。今回は、時系列で振り返ってみたい。

前回のコラムはこちら


「どうぶつしょうぎ」を娘とやったのは多分娘が4歳のころ。最初は、「手本のとおりに、動物たちの駒を並べる」みたいな遊びから。


いやあ、詳しく覚えてないなあ。もったいない。子どもがどういう順番で興味を持ち、どういう順番で「交互に指す」「駒によって進める場所が決まってる」「ライオンを取ったほうが勝ち」ということを理解していったのか。「ゲームを理解すること」ってどういうことなんだろう。


「将棋」だけじゃなくて、「ルールのあるゲーム」というものも教える中に、将棋もある、という感じがいいような気がする。うちの場合、2世帯同居の母が、子どもたちと神経衰弱とか、ババ抜き、すごろく、カルタ、とかで積極的に遊んでくれたのがめちゃくちゃありがたかった気がする。


さて、「どうぶつしょうぎ」を教えてからしばらく経って、「娘がどうしても投了したがらず、それを俺がどうしても許せず」というステールメイト状態になったことがあった。なんというか、娘が「勝負」を楽しんでるような雰囲気が出てきたので、僕としてもちょっと欲が出てきて、「ここで敗北の味を覚えさせよう」と思ってしまった。


娘が、「どうやっても負け」みたいなことを悟ったのか(まだ詰みではなく、指せる手はあった)、次の手を指さなくなった。「負けました」とどうしても言えない娘。僕はどうしたらいいか分からなくなり、軽くパニック。先に寝ていた妻に文字通り「助けて」と頼んで、娘と一緒に投了してもらった。


この流れで僕は完全に怖くなって、「自分の好きなことを子どもに教えようとする時、冷静な判断ができなくなるな」みたいなことを思った。多分、娘は勝負事としてのゲームを楽しんでたというよりは、「パパと交代で駒を動かして、最後に自分が勝つ」という手続きの「ゲームごっこ」を楽しんでる段階だったんじゃないか。それを、「そろそろ勝負の楽しさが分かってきたんじゃないか」と、娘の状態を見誤った。そして、「投了しないことを認めてはいけないのではないか」と、妙な使命感を持ってしまったことも、ちょっと違う気がする。ひょっとしたら、じゃんけんとかで「負けました」と、投了の練習を別にした方がよかったのかもしれない。とかく、「自分の好きなこと」には、過剰な思い込みを持ちやすい。


それで、いったん「子どもに将棋を教えること」から僕は撤退した。オセロやボードゲーム、僕がムキにならずに済むもので遊ぶようにした。


それから2年後。妻が将棋教室の情報を調べてきた。子ども用の将棋入門の講座で、駒の動かし方から教わる、という。ナイス。それこそ僕の求めていたものだ。さっそく申し込んで、無料体験の日に娘を連れて行く。保護者は見学させてもらえるんだけど、授業の様子に、僕はものすごく感動した。


「ぴょんぴょん将棋」という将棋の駒をつかったゲームを教わり、子どもたち同士でさっそく対局するんだけど、その時の子どもたち(年長から小2ぐらい。娘は年長だったと思う)の、かわいらしいことといったら! 背筋をしっかり伸ばして座って、盤面を見る目は真剣そのもの。勝負はすぐ終わり、「負けました」「ありがとうございました」と,投了も、挨拶もしている!


親は、子どもに「お行儀よくしなさい」と口を酸っぱくして言うものだ。そして子どもは、決して簡単にはお行儀よくなどしない生き物だ。でも、見よ。「ぴょんぴょん将棋」の手を読む子どもたちを。完全に、間違いなく、行儀がいい。「行儀よくしなさい」なんて、誰にも言われてないのに。子どもたちの「ピンと伸びた姿勢のよさ」は、子どもたちの中に実装されていることがわかって、感動したのだ。


その感動からしばらく経って、「普段僕が目にしてないだけで。案外親の管理下から離れた子どもは、親が思うよりしっかりしているものだ」「いくら将棋が好きだからって、将棋に関わるものすべてを大げさに美化することはない」とは思い直したけど、それでもとにかく、将棋教室の無料体験に来てよかった。実力でクラス分けするから、別の学年の子と交流があるのもいいと思ったし、勝ったり負けたりすることがあるのに慣れるのもいい。


結局、その時は他の習いごとと曜日が重なることもあって、すぐには申し込まなかったんだけど、子どもたちを将棋教室に通わせようと決めた。


(続く)

 

(趣味の将棋についての連続エッセイとして、「将棋王にオレはなる!」というシリーズを書いています。シリーズ第1話はこちら↓)

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