鯖缶@3rd&forever

2児(娘8歳、息子6歳)の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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40歳を超えてはじめて将棋道場に行った時の話(「将棋王にオレはなる!」*006)

僕はずっと将棋道場に行ったことがなくて、それは単に「行きたい」という気持ちに「引っ込み思案」が常に勝ってしまうからであって、それ以外に理由はない。それ以外に理由はないんだけど、僕の中で「引っ込み思案」ほど確固たるものはなく、「行ってみたい」という好奇心とか、「強い人と将棋を指したい」という向上心とか、そういうポジティブな感情は「なんとなく怖い」というヘタレっぷりに(惜敗ではあるものの)必ず負けてきた。


それでも、1年ほど前。ちょっとした成り行きで、はじめて将棋道場に行ったのである。その時のことを、思い出して書きたい。


子どもたち2人を週に一度の将棋教室に通わせている。風邪や用事で教室を休ませる時に、「道場」への振り替えができるシステムで、良心的。学校の行事で教室を休んだ代わりに、子どもたちを道場に連れて行く機会ができた。子どもたちはまだ18級とかで、相手に駒を落としてもらっても勝てないことを分かっていたのか、それとも僕と同じで、やったことのない新しい挑戦になんとなく気後れしたのか、あまり道場に行きたがらない。それで、「パパも一緒に指すようにするから」と説得して行くことにした。


つまり、「子どもたちに将棋道場を体験させる」というミッションで、自分の気後れを説得した、ということ。本当は、子どもたちを道場に残して、「2時間後に迎えに来ます」でもよかったし。あるいは付き添いと見学だけでもよかった。でも、僕も指してみたい。今まで「なんとなく怖くて」行ったことのなかった将棋道場。「僕が子どもを連れて行く」というには言い訳で、「子どもが僕を連れて行く」が本当なのは我ながら恥ずかしい。


さて、そんな僕の中学生めいた内面の葛藤などどうでもよくて、行ってみた感想は、「行ってよかった」に尽きる。何がよかったかと言うと、「対戦相手がいることのありがたさを実感できる」ということ。


将棋ウォーズで、ずっとスマホの画面を見てるときの精神状態は、「イライラ」がかなりの密度で混ざってる気がする。もちろん、集中して手を読むこと、うまくいったときの興奮があるから夢中になってやってるのであって、その興奮を「いつでも」「どこでも」味わえるネット対戦は好きだ。だけど、将棋ウォーズをやってる時に、対戦相手への感謝や尊敬を実感することは正直言ってほとんどない。その点、将棋道場は、目の前に相手がいる。運のいいことに、僕は目の前にいる対戦相手への感謝を実感できないほどのサイコパスではなかった。


行く前に、娘から「パパ、手加減しちゃダメだよ」と言われて、それもなんか嬉しかった。将棋道場は、「手加減は失礼」という世界観の場所だと娘が理解していることが分かる。実際に入ってみると、「猛者たちが腕を競い合う戦いの場」という雰囲気ではなくて、将棋教室の延長で、初心者の子どもたちが10人ぐらい。大人は僕を入れて2人で、僕と同様に子どもを連れてきた保護者だ。


で、だから要するに「道場」ということをうたってはいるものの、僕がお邪魔したのは「子どもたちの面倒を見ている場所」であって、僕は席料を払っているとは言っても「面倒を見てる大人の側の1人」というのが最初の意識だった。だから、娘に「手加減するな」と言われても、正直言って手加減をするつもりでいた。


だけど、実際には手加減をする余裕なんてなかった。7級とか9級の、目の前の子どもがビシバシと指してくる。駒を落としてるのならともかく、平手で負けるわけにはいかない(僕は「2級ぐらいだと思います」と棋力を申告していたけど、とりあえず何局か指してから級を決めましょう、と平手の手合いだった)。「こいつにナメられたらいけない」みたいなことを、本能的に思う。「大人なんて簡単に勝てる」とか思ったら、僕のことだけじゃなくて、将棋を、世の中をナメることになるんじゃないか。それは教育上よろしくない。


というか、真剣に指してる相手に対して、「手を抜いて勝たせる」みたいなことは失礼なんじゃないかな、と思ったりした。ひょっとしたら、指導対局の達人は、「一手違い」になるぐらいのある程度の手加減をするのかもしれないけど、それはかなりの実力が必要だと思った。自信満々で指してくる相手の子は、ちょっと油断したら一気に負けてしまうんじゃないか、と思わせるような迫力だ。僕は、子どもの攻めを正面から叩き潰す指し方をしてしまった。僕自身緊張していたので、そうしないと勝ち方が分からなかったからだ。


そんな時に、将棋ウォーズのネット対戦では、負けたらムカつくだけなんだけど、目の前に「強くなってる途中の子どもたち」がたくさんいると、「この子たちにできるだけ負けないように指して、それでもいつか負けるんだったら、その負けには価値があるんじゃないかな」みたいなことを思った。それは、僕は今までに感じたことのない感覚だった。「子育て中の僕が、よその子の対戦相手を務める」というシチュエーションだったから感じたことかもしれないけど、本質的には、相手が子どもでなくても同じことなんじゃないか。


「僕が真剣に指しているからこそ、相手も真剣に指す甲斐がある」という事実を、身を持って体験できて、将棋を指しててよかったな、と思えた。40歳を超えてはじめて将棋道場を体験したからこそ感じたことかもしれない。僕にとっては、その日はかなりうれしい日になった。


ところで、うちの子どもたちは全敗だったようで、早速洗礼を浴びた感じだった。その後1回行ったけど、あまり積極的には行ってない。うちの子どもがもう少し強くなったら、また誘って一緒に行ってもらおうと思っている。

 


(趣味の将棋についての連続エッセイとして、「将棋王にオレはなる!」というシリーズを書いていて、これが8ヵ月ぶりの更新です。シリーズ第1話はこちら↓)

将棋王にオレはなる!*001 - 鯖缶@3rd&forever

 

(続きはこちらです↓) 

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