鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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スプラトゥーン日記(004)

(僕のスプラトゥーン修行を題材にした私小説です。95%実話ですが、あくまでもフィクションです。1つ前の日記はこちら↓)

スプラトゥーン日記(003) - 鯖缶@3rd&forever


2020年3月18日朝

目覚めてすぐに、NFLのニュース。トム・ブレイディがペイトリオッツを退団するという。本人のメッセージをツイッターでも見たし、ヘッドコーチもチームオーナーも球団公式も「ありがとう」メッセージを流した。まだ正式決定じゃないけど99.99%確定。可能性は十分あると頭では理解してたけど、まさか本当に退団することになるとは、つゆほどにも思ってなかった。


僕がNFLにハマったのは8年前か。そのきっかけになった選手が、チームを去るのが、寂しい。アラームのためにスマホを枕元に置いて、目覚めて布団から出る前に知りたくないニュースを知るこの流れ。不思議な酩酊感がある。「世界」との時差が限りなく薄くなって、「距離の遠いニュースは時間をかけて伝わってくる」ではなく、「距離は関係なしに一瞬で知らされる」この感じ。


「距離」は関係なくて、「興味の有無」で時間差が決まってくる。フォローしてる世界、人物、話題はすぐ伝わってきて、フォローしてない話題は、人づてに(だいたい悪意をまぶして)伝わってくる。自分が暮らす町のどの店が潰れたとかは何ヵ月も経ってから気づくのに、アメフトの選手の移籍話は目覚めてトイレに行く前に、呼吸をするように入ってくる。


僕自身もブレイディの退団についていくつかツイートする。ネタっぽいのと、率直な感想っぽいのと、ポエムっぽいの。


面白いのは、「衝撃のニュース」に出会って、「衝撃」と思う自分がいる一方で、「とは言うものの、別にどうでもいい」と思う自分もいて、「どうでもいい」と思う方の自分はツイートには出てこないこと。「ウケたい」と思う切実な心があって、何かのニュースを見たときに、大げさなリアクションがクセになってる。「怒り!」「感動!」「いいね!」「やめろ!」という、オーバーリアクションな自分を膨らませて、それを垂れ流す。楽しいし、それはそれでいいんだけど、その一方で、「それってどうでもいい」という自分が、無視されて寂しそうにしてる感じもある。


NFLに尋常じゃなくハマったこの8年ぐらい。ブレイディが引退したら一段落なのかな、と何となく思ってたけど、「引退前に1年か2年別のチーム」というシナリオは、僕にとっては「(ブレイディロスの)軟着陸」なのかもな、とか思い始めた。


そんな感じであまりスプラの動画は見れず。昨日メモした「今の実力でもできそうな課題」だけ思い出しておく。「やられたを押す」「スペシャル溜まる音を意識」「インク補充時にイカメーター見る」「プレー前にさんぽで防衛地点予習」。ああ、そうか。「負けたら、その時点で敗因の振り返り」ができれば一番強いのか。ブレイディはフィルムスタディの鬼だった。


3月18日夜

ガチヤグラ(B-)3勝5敗。アジフライスタジアムで好調だったけど、タチウオパーキングで負けが重なった。ヤグラに乗ってる時は「無防備かよ」って思うのに、ヤグラに乗った相手を自分が狙う時は、「あの柱ウザすぎ」って思う。ヤグラに乗った相手を倒せなきゃ勝てない。


ガチエリア(B-→B→B-)6勝8敗。ムツゴ楼では好調だったけど、バッテラストリートで負けまくった。バッテラストリート、面白いマップだな。戦況がめっちゃ変化しやすい。結局正解が分からないまま。またやりたい。


ガチアサリ(C+)5勝3敗。海女美術大学、ガンガゼ野外音楽堂好き。ビバアート。ビバカルチャー。

 

トータルやや負け越しか。でも今日は手応えあり。「やられた」も押せたし、敵味方の位置把握は見えてない時間の方が長いけど、人数把握はだいたいできてた。自分が先に気づいた敵は、まあまあ倒せた。


スプラの合間にやってる人生の方は何も進まず。10日後に2泊3日の家族旅行をするはずなんだけど(そのうち1泊は法事で、両親が宿泊先とか手配した。もう1泊の計画が白紙)、調べ始めても7分で興味が持続しなくなる。


がん保険のチラシ、見てても読んでないし。時々見ても値段が変わるわけじゃないし。もしがんだと診断されたときに(近い将来十分ありうる)、「入っとけばよかったと思いたくない」という理由だけで、加入してもいい気になってる。「補償額足りなくてもいいから、気休めのつもりで一番安いやつ」とか言って、一応チラシを眺めるんだけど、「がん保険って、どんどん年を取るごとに高くなるんだ、うまくできてるな」とか思ってるうちに、「そんなことも知らなかったのか」と自分のことを軽蔑するような気持ちが出てきて、考えるスイッチを切ってしまう(それでニンテンドーSwitchをやる、というダジャレを一応カッコのなかに残しておく)。toeicをたぶん6年ぶりぐらいに受験してやろうかと思って、IDを作り直したけど、申し込む直前に嫌になった(中止になった時の返金の有無を調べるのがダルくて、10日後にまたやればいいや、と)。


西村賢太「苦役列車」30ページぐらい読んだ。読書すら遅々として進まない。ヤグラもホコも進まない。アサリも拾えない。左手の親指のマメだけ大きくなる。

 

3月19日夜

そういえば昨日は、もう1つやったことがある。「ヒゲを剃る」だ。たぶん、2ヵ月ぶりぐらいに。30分ぐらいかかった。ヒゲが長くなってるから、途中で何度もジレットのカミソリを洗わなくちゃ続きができなくて。なぜヒゲを剃ったのか。今日は、息子の卒園式だからだ。


今日もまたヒゲを剃った。先週買った新しいシャツを着る。そこまでちゃんとした服ではないけど、一応ジャケットを着て、靴も「冠婚葬祭用」のやつを出してくる。レンズが汚れ切ったメガネではなく、使い捨てのコンタクトをつける。身だしなみを整えると、何となく自信が湧いてくる。バカにされにくいような気がしてくる。


卒園式は、学年全体ではなくて、クラスごとに交代で短めに行うことになった。息子のクラスは14時スタート。祖父母は出席せず、両親のみの参加。感染を広げるリスクを和らげるということ。2年前の娘の時は、クラスごとに歌を歌って、その歌が1年を順番に振り返る内容で、ミュージカルめいた感動で泣いて、周囲の親も泣いてて、それを見た先生たちも泣いて、もらい泣きの連鎖が止まらなくなった。その感動を期待する僕もいたんだけど、実際に「短縮版」の卒園式だってやっぱり感動。ウソみたいに暖かい1日で、せめてもの幸運だったのかも。


そんな、人生の節目の感無量な1日でも、たっぷりスプラトゥーンはやった。卒園式に出発する直前までやったし、帰ってきてすぐやったし、夕飯作る前にもやったし、風呂からあがってもやった。恐ろしい話だ。


(ところで、この「スプラトゥーン日記」の裏テーマは、僕自身の“中年の危機”をつぶさに記録することだ。ゲームに依存できる程度には、時間に余裕が出てきたからこそ、自分の人生を他人の人生と雑に比べて、やっかむようになったという単純な話のような気もする。もちろん自分なりに切実な話なんだけど、一方ではこれほど滑稽なこともない)


ガチヤグラ。B-、1勝5敗でウデマエダウン。C+で4勝4敗(トータル5勝9敗)。マンタマリア号、分かってたつもりで分かってなかった。立体的なフィールドで、「ここにいれば安全」「ここはやや危険だけど、押さえれば強い」「ここは危険」という場所が随時変わっていく感じ。立体的なフィールドだと、見渡すのが難しくなるけど、高台から相手を狙うのも、自分が下から高台を狙うのもできるオーバーフロッシャーデコの特性をいかせる気もするんだけど。よく分からない。

 

ガチアサリ。C+で3勝1敗。ウデマエアップしてB-で1勝3敗。結局逆転負けしたんだけど、一度自分が攻めの起点になれた試合があって、かなり興奮した。自分の意図を仲間プレーヤーが読み取ってくれることが分かるのが、こんなに面白いとは。


ガチエリア(B-)、4勝0敗。相手にやられて嫌だったプレーを覚えてて、それは「人数有利の時に前線をガン上げする」っていう単純な話なんだけど。


ガチエリアで気を良くして、新しいブキを買いに行った。昨日、バッテラストリートで、オーバーフロッシャーデコの立ち位置に迷ったのがあって、もっと小回りがききやすいやつないかな、みたいなこと。で、プロモデラーMG(銀色のやつ)を試しうちしてみた。ボールドマーカーと、オーバーフロッシャーという正反対の特徴のブキを使ってる僕にとって、このブキは案外マッチするのでは、と思ってる。


で、プロモデラーMGはまだガチマッチで使ってないから、よく分かんないんだけど、今までできなかった「雷神ステップ」が、試したみたら初めてできて驚いた。今まで、「これは習得必須」みたいな動画を見て、マネしてやってみたけどなんかできなかったのが、「イカダッシュのままで方向転換するよりも、一度イカ状態をキャンセルした方が方向転換が速い」という理屈を説明してる動画を見て、「そういう意味か」と納得したからかな。


子供の頃、自転車に乗れるようになったのがマンションの同い年の子どものなかで僕が一番遅かった(たぶん小2)。だから、僕は自転車に乗れるようになった瞬間を覚えてるんだけど、そんな感じ。一度できるようになると、それまでなぜできなかったのかよく分からないやつ。(僕ができるようになった「雷神ステップ」が、ひょっとしたら間違ってるのかもしれないけど)

 

3月20日夜

ガチアサリ(B-)3勝3敗。僕自身はほぼ何もできなかったんだけど、味方がカウントを稼いでくれて3勝できた。C帯とB帯、上級者にとっては大差ない実力差なんだろうけど、当事者にとってはやっぱりかなりの違い。相手も強くなったけど、当然味方も強くなってるので、「味方をサポートするプレー」ができれば、勝率も上がってくるはず。ある程度はできそうな気もしてる。


ガチエリア(B-→B)4勝3敗。バッテラストリートでさっそくプロモデラーMG使ってみたんだけど、まだよく分からない。1試合だけでオーバーフロッシャーデコにもどした。ホッケふ頭のガチエリア、だいぶ相性がいい。

 

「オーバーフロッシャーデコ」で、なるべく俯瞰しようと気をつけながらプレーしてて、「裏を取られること」がどれほど嫌か分かってきた。だから逆に、他のブキを使ってプレーをしたら、オーバーフロッシャーにどんなプレーをされると困るのか、分かる気がする。近いうちに試してみよう。


3月21日朝

昨日(アサリ)、おととい(ヤグラ)と全然勝てなかった、マンタマリア号の動画をたくさん見る。なるほど、アサリはゴール正面からじゃなくて、左から攻めるのもアリだな。仲間が正面から行ったら、左からフォローしたら、相手は困るだろう。


それにしても、こうやって日記をつけると、スプラトゥーンへのモチベーションが常に高く保たれるのが分かる。「日記に書くこと」が欲しくて、プレーするし、気づいたことを忘れないようにするし(スプラ以外のモチベを上げろよ)。


将棋も同じことをしたら、それだけである程度上達しそう。「角換わり、負け」「対四間飛車、棒銀速攻、勝ち」とかメモして、負けた戦型の棋譜や動画を検索するだけでも、かなり違いそう。一行でもいいから、反省点を記録する。次の日の朝まででいいから、自分の課題を覚えておく。ダイエット日記とか、受験日記とか、読書日記とか、全部このスプラトゥーン日記に混ぜていってみようか。


宮沢章夫がチェーホフについて評論するエッセイの中で、「今日もまた日記に書くようなことがない」と思ってしまう人の精神構造を指摘して、「日記に書くべき自分」と「そうでない自分」、「日記に書くに値する一日」と「そうでない一日」を、気づかぬうちにかなり明確に区別してる不条理に触れていたのを思い出した。「日記に書けるような一日、人生を送らねばならない」という強迫観念は、多くのSNS中毒者にとっては笑うに笑えない、クソのように切実な問題であって、僕もまた同じ穴のむじなであることを否定できそうにない。


僕は、ある意味赤裸々に自分の醜態を記録し続けてるわけだけど、それでも「書くこと」と「書かないこと」は意識的にも無意識的にも区別してるわけで、書き続けることでその境界が整理されたり、あるいは混沌としたりすることが面白いな、と思ってる。


3月21日夜

ガチアサリ。B-で1敗してC+へウデマエダウン。その後2勝3敗。ガチヤグラ(C+)3勝7敗。自分としては「B帯に上がった経験もあるんだから、C帯ではそんな負けないでしょ」とかナメてると、不利になった時焦ってしまう。ヘボい奴ほど相手をナメるものだ。ああ、誰かをバカにしてると、そんなものは自信のなさの裏返しの虚勢であって、ちょっとプレーがチグハグになると「どうせ僕も下手だとバカにされてる」と思って、簡単に悪循環に陥ってしまう。


今日は、子どもたちを連れて井の頭公園から久我山まで散歩。「井の頭公園の池から、流れてる川って、ずっと歩いてくと海まで行けるんだよ」と子どもらに話したら、興味を持ったので、何回かに分けて海まで歩く冒険の、今日は1回目だ。


古川日出男「サマーバケーションEP」が好きで、その真似なんだけど、やっぱり面白い。井の頭公園駅の手前で、井の頭線が神田川の左から右になる(川と線路が交差する)んだけど、それが三鷹台と久我山の間で再び井の頭線が川の左側を走るようになる。川も線路も、それぞれの必然性があってルートを決めてるはずで、それが並行し、交差し、やがて離れていく。この現代の都会でもやはり、川を人生になぞらえるのは、なかなかに感慨がある。


久我山近くに、川沿いに児童公園みたくなってるところがあって、そこで子どもたちを遊ばせてる間に、「苦役列車」の続きを読む。暖かくて、それでも涼しくて気持ちのいい晴れた午前中。気の早い何本かの桜は花を開き始めてて、子どもたちも機嫌がよさそう。そんな中読む、貧乏くさい純文学。主人公の青年に多少は感情移入してるからこそ続きが読めるわけで、それはもう、「この苦しみを打ち明ける友達が俺にいないのは何なんだ」という屈辱、苦々しさだ。


夜は飲み会。普通は飲み会は行かないし、行かないから誘われないんだけど、今日は。飲み会、だいたい行くと後悔する。今日も。下らない奴が偉そうにしてて、それが唇の端が引きつるほど腹が立つんだけど、腹が立ってることを悟られたくないから、ヘラヘラしてるしかない。(悔しくて、これ以上気持ちを詳しく書けない。まあ、いつか書くでしょ。でも、後悔した、と言っても、49%は楽しかったよ。何に対するフォローなのかよくわかんないけど)


帰ってきてから、寝る前にちょっとスプラやった。ガチアサリ(C+)3勝1敗。酔ってるのになぜか勝ち越せた。酔ってやるのは大して面白くはない。


3月22日夜

ガチエリア(B)8勝4敗。相変わらずエリアだけ好調。チョウザメ造船も、ムツゴ楼も苦手意識ない。だからこそ、負けた4試合を振り返って課題をメモしておけばいいんだけど、負けるとすぐ「次の試合」をやってしまって、覚えてない。15秒でもいいから、間を開ければいいのに。


昨日、飲み会の席に「苦役列車」を忘れてきてしまったと思ってたんだけど(ズボンの尻ポケットに入れてたはずがなかったので)、今日見たら机の上にあった(そもそも持っていってなかった)。友人たちに見られたら嫌だな、と思ってたんだけど、無用な心配だった。


「あいつ、文学なんて読んでやがるぜ」みたいに、哀れまれたくない。「しかも、芥川賞の受賞作かよ。しょせんミーハー」とか、バカにされたくない(被害妄想よ、いつも一緒にいてくれてありがとう、これからもよろしく)


今日は、5日後に迫っていた旅行の行き先を決めて、アスレチックを予約したので、その部分だけでもめんどくささを克服した、と喜んでた。だけど、天気予報を見ると雨のマーク。雨が降った場合のプランBも作らなくちゃいけないのかよ。めんどくささは、捨てても捨てても湧き出してくる。

 

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(スプラトゥーン日記、第1話はこちらです)

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