クレーム対応に限らず、いろんな場面に応用できる考え方に、「自分のコントロールできるもの」と「自分にはコントロールできないもの」を分ける、という考え方がある。そして、「自分でコントロールできるもの」にフォーカスして課題の解決を考えていく、という思考法だ。
コールセンターで電話応対をするスタッフとして、「客の置かれている状況」「客の気持ち」「客の考え方」は、オペレーターにはコントロールできない、と思ったほうがいい。つまり、「客が少しでも納得しやすい提案をすること」ならばオペレーター自身でコントロールできるけど、「その説明で客が納得するかどうか」はオペレーターにはコントロールできない。
なのでオペレーターはできるだけ、「客を納得させよう」とは思わないほうがいい。クレーム対応の極意は、「静かに、粘り強く、客が自分で気持ちの落としどころを見つけるのを待つ」だと思う。
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さて、そんな時に、障壁にの1つになるのが「オペレーター自身のプライド」かも知れない。
「客の挑発に乗って、つい軽く反論してしまう」
「発言の矛盾を指摘されたくないので、誤った説明を取り消せずにドツボにハマる」
「オペレーター自身も感情的になり、つい同じ説明を繰り返してしまう」
こうなってしまえば、火に油、である。これは是非とも避けたい。しかし、僕の実感では、これが案外簡単ではない。「オペレーター自身の感情」も、ある意味「生理的な反射」なので、「いつでも自分でコントロールできて当たり前のもの」とは思わないほうが、現実的な対策が立てられるのではないか、とも思う。
①「クレーマーに乗せられて、オペレーターまで感情的になるのは損」だと、あらかじめ自分を説得しておく。
あらかじめ自分を説得しておくのがポイント。悪質なクレーマーでなくても、ごく標準的な客でも「何気ない嫌味」「上から目線の指摘」「横柄な言動」は時に口にするもの。もとから想定していないと、反射的に頭に血が上ってしまう。反射的にイラっとなってから、あわてて自分を諌めようとしても、それは結構難しい。なので、あらかじめ自分を説得しておくのだ。
②「スイッチを切る」ためのルーティンを作る。
オペレーター自身が、「この行動をすると、自分の怒りのスイッチが切れる」と自己暗示をかけたルーティンを決めておくのだ。ヘッドセットを付けた側の耳を左手でおおう(ものまねの審査員みたいに、「このクレームの調べを味わってみようかな」という演技モードに自分で入る)とか、端末の右上に付けた付箋に、星印とかを書いておいて、それを見ながら「遠くを見ろ」と心で唱える、とか、自分でしっくりくる動作ならなんでもいい。
その一瞬の落ち着きで、下手な地雷を踏む可能性がずいぶん減るだろう。ぜひ、試してほしい。
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