鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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心を込めて謝る必要なんてない(クレーム対応で使える考え方③)

20年間、実際に電話対応をしてコツコツ謝ってきた僕が、同じように実際に電話対応をしている方々に伝えたいことがある。電話対応において、「心を込めて謝罪する」必要なんて、まったくない。簡単な話である。たかだかアルバイトで電話をとっている立場のあなたに、心からの謝罪を求める客がいたとしたら、その客がやってるのは「いじめ」である。

 

会社の作る商品やサービス、業務内容になんらかの決定権が与えられてるわけでない末端の人間(この場合、アルバイトでも、正社員でも関係ない)に、心から謝る必要なんてない。というか、心から謝ることなんてそもそもできない。

なんでこんなことを思ったかと言うと、以前「クレーム対応法」のような記事を読んでいて、「状況がよくわからないうちには安易に謝罪すべきでない(=自社に非がないような場合には不当な要求には応じない)」「自社に非がある場合には、心を込めて謝罪すべき」とのことが書いてあり、違和感を覚えたからだ。

 

「謝れ」「責任者を出せ」「今すぐ回答しろ」「誠意を見せろ」「納得できない」クレーム5大表現への対処法 | ネットショップのサポート対応効率化マニュアル | ネットショップ担当者フォーラム

(↑簡潔にまとめられた、信頼のおける記事だと思います。僕としては、内容に問題があると指摘するつもりはなく、「心を込めて謝罪する」という表現が、現場の人間としてはやや「雑」かなあ、と感じたということです↑)

もちろん、アルバイトだったとしても、会社の名前を名乗って電話に出ているのであれば、会社を代表して、責任を持って対応するのは当然のこと。会社に非があるのであれば、当然謝罪すべきだ。同様に、客に怒られたからといって、その場を収めるためだけに謝っているのであれば、それは無責任な対応だろう。

だけどここに、「心」は関係ない。ただ、認識と責任の問題である。「心を込めた謝罪」を現場のオペレーターに求めてるのは酷すぎる。本当に、「心がいくつあっても足りない」という状態になる。

とはいえ、「マニュアル的な、心のこもっていない謝罪」ではうまくいかないのは僕も知ってる。「怒り」や「不満」の落としどころがまずは必要で、それがないと、どんな説明も解決策の提示も空回りしてしまう。現場の人間として、実践的な対応を考えてみた。

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①怒られる前に謝る


「非があるかわからない限りは謝らない」というのは、オペレーターとしては「ヘタくそ」である。謝罪職人は、怒りそうな雰囲気を察知した時点で、客がそれを言うより先に謝るのだ。これは冗談じゃなくて、本気だ。

例えば、「注文した商品が(客の落ち度と思われる原因で)壊れたから、1時間以内に代わりの商品を持って担当者が誤りに来い」という内容のクレームがあったとする。この場合、「商品が壊れた」と言われてから謝ると、確かに無理な要求への回答が困難になるかもしれず、謝り方が難しくなるのだ。

だから、「あのさ、おたくの商品のことなんだけどちょっといい?」とか、まだ具体的な話が出ていない時点で、「申し訳ありません。なにか至らぬ点がございましたでしょうか?」と。それが危機察知力といものである。「ちょっといい?」の時点で、クレームなのかどうか、僕は分かる。そんなときは、目が合った瞬間に切り合う剣士のように、素早く謝罪する。最初から低姿勢な人間には、なかなか怒りをぶつけにくいものだ。

「そうなんだよ。ちょっと困ってて」と言われたら、「どのようにお困りでしょうか?」など素直に言っては、不満の呼び水になってしまう。またもや、この時点でたたみかけるように謝ってしまう。「失礼いたしました。なにか、担当者の説明に不足がございましたでしょうか?」など。

万能とまではいかないけど、「説明不足を謝罪」という切り口で早めに謝ってしまう、というのは汎用性が高い対応だ。オペレーターが予想より早く謝って、下手に出たことで客の感情が収まり、落ち着いて不満の内容を言ってくれるのであればそれでよいし、もしそうならなかったとしても、ここで約束してるのは「説明」のみである。「代わりの商品を届ける」「担当者が直接謝りに行く」などの展開にしない流れに持ち込みやすい。

②オウム返し+シンプルな謝罪

客の感情や要求に対して、「否定せずに共感を示すこと」と、「無責任な約束をしないこと」を両立させる、実践的な手段が「オウム返し」である。オペレーターが、その場で客を納得させようと思うと火に油をそそいでしまう。客自身に、感情を収めてもらうのが遠回りに見えて一番シンプルだ。「うまいセリフを言って、会社の立場を悪くせずに切り抜ける」などと思ってると失敗しやすい。次のような対応をイメージしてみよう。

 

客)「商品が壊れたんだよ、代わりの物が今すぐ必要なんだ」
オペレーター「(多少言いにくそうに)私共の商品が壊れており、交換が必要な状況、と、いうことですね。ご迷惑をおかけしております」
客)「どうしてくれるんだよ。こっちは困ってるんだよ」
オペレーター「お困りで、いらっしゃるんですね。さようでございましたか・・・」
客)「どうしてくれるんだよ」
オペレーター「ええ、・・・申し訳ございません」
客)「だから、ゴメンじゃなくてさ」
オペレーター「はい・・・私共としましては、お詫び申し上げるよりありません。・・・大変、申し訳なく思います」

とか、そんなようなイメージである。言い訳も反論もしないので、客はバトルが盛り上がらない。文句を言うセリフもバリエーションが少なくなってくるものである。

 

このあとで、具体的な落としどころを提案するような流れに持っていく。それはちょっと業種によって違うだうから、ここではこれ以上話を広げるのはやめておくが、「具体的な確約はしない」「クレームの電話をして、多少は得をしたと勘違いさせて、それで妥協する」などがありそうかな、と思う。

「私では具体的な約束ができませんので、内容を担当の者に連携いたしまして、折り返しご連絡を差し上げます。お困りの状況である旨は伝えまして、優先的にご説明するようにいたします、具体的な対応につきましては、ご連絡をお待ちください」などではどうか。

「優先的」はあいまいだがそれほど逃げ腰なイメージがない気がする。「1時間以内」とか、具体的な約束は何もせず、ただ「なんとなくの戦果」を味わってもらうのだ。

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