鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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「ストリートスポーツ広場に、スケボーで来るのは禁止です」

僕の知ってる市役所の体育館には、「ストリートスポーツ広場」があって、スケボーやインラインスケート、BMX(マウンテンバイクみたいなの?)で若者~少年たちが遊んでいる。

 

みんなちゃんとヘルメットをかぶり、結構順番を守って行儀よく遊ぶ。素人目で見ても、かなり上手い人とかも時々いて、技を決めると順番を待つ人たちから拍手が起きたりして、なんかそれっぽい。全員が今風のカッコいい若者ばかりというわけでもなく、なかにはへっぴり腰で初心者のおじさんなんかも混じってて、それが小学生の子どもとかと一緒に遊んでる風景は平和そのものである。

 

「ストリートスポーツ広場ね・・・なんかいいじゃん」
と微笑ましく思っているうち、ふと沸いたツッコミがある。

「ここ、ストリートじゃなくね?」

 

スケボーとかって、すごく乱暴に言えば「滑っちゃダメな場所で、好き勝手に滑るからカッコいい」のでは?

 

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もちろん、僕も2児の父親だから、子どもがその辺の車道で遊んでたら危険だし、子どもを危険な状態に置くこと自体も他人に迷惑なので、安心して遊べる広場があるのはありがたい(うちの子らはまだスケボーとかはできないけど)。

 

それに例えば、子どもたちに道で遊ぶなと注意しているときに、イケてる感じの若者がワイヤレスのヘッドフォンかなんかを着けて、目の前をスケボーで通り過ぎていったら、「楽しそうにしやがって。あれか?クラブに行ってラップバトルか? 高架下でグラフィティ描くのか?」とすごく大雑把な先入観でその若者を見て、ムカついてしまうかもしれない。

 

でも僕は思うのだ。「いつから僕は、他人が楽しそうにしてるのをやっかむようになったんだろう」

 

うまく言えない。でも、「受付で名前を書いて、市役所が用意した番号のついたヘルメットをつけたらスケボーやってもいいけど、そうじゃなければダメ」って、なんかイヤだな。

 

僕は学生時代演劇をやっていて(もう20年も昔の話だ)、公演が近づくと宣伝用の「立て看板」を作ったものである。僕の通っていた大学には自主サークルの劇団がいくつもあって、それぞれ工夫を凝らしてキャッチコピーやデザインを競い合っていた。

 

ベニヤ板と木材で看板を作って、ペンキで絵や文字を書くのだが、その作業はキャンパス内のどこでやっても、(白い目で見られることはあるにせよ)怒られたりはしなかった。大学内のどこに看板を出しても、撤去されることもなかった。キャンパス内で大工仕事をしてよいとも、立て看板を出してよい、とも特に規定はなかった。というか多分、禁止されてたけど事実上黙認されていたのだ。

 

それが、いつの間にか、大学内のサークル活動を集める学生会館の地下の片隅に「作業場」を大学は用意して、その作業場の利用申請を書類で提出するシステムに変わっていた。「作業場」が用意されて、許可をもらえるようになった代わりに、「作業場」以外での大工仕事は明確に禁止されるようになった。

 

サークルの活動の場所についても、似たようなことが起きた。以前は、大学のベンチやラウンジをサークルが勝手に占拠し、私物を置き、勝手に部室化して学内のそこかしこを使っていた。

 

それがいつの間にか、他のサークルと部室を共有し、当日に学生証を提示して「許可」を得てから部室の鍵を受け取って使うシステムになり、ミーティング用のラウンジも「予約制」になった。「予約して、許可を得てからわざわざダベったりする奴なんているか?要するに、事前にテーマの決まった役に立つ話しかするなってことだな?」みたいなことを思って、憤った覚えがある。

 

「名づけられない、ダラダラとした目的のない時間」がサークルの本質ではないか。本質じゃないかもしれないけど、サークルの重要な一部じゃないか。

 

その憤りの理由を、僕は今でもうまく説明できない。でも、「ストリート広場の行き帰りにはスノボー禁止」と似てる気がする。

 

20年前より、ホームレスの人たちの居場所が減った気がする。(ネットカフェとか、目に見えにくくなっただけなのかもしれない。恥ずかしながらよく知らない)

 

僕らは、街からホームレスを追い出した。それってひょっとして、同時に「自分の中のホームレス願望」を許さなくなってしまったことと同義ではないか。

 

僕は、家出をしたこともないし、これからも家出するつもりはないけど、「一日のなかで、30分だけホームレスになれる場所」が少ないのは、何かツラいことのような気がする。目的も損得も関係なく、ダラダラとリラックスできる場所。「許可」や「説明」なんてなくても、ほっておいてくれる場所。それが、世の中からどんど消えていっている気がして、「それでやむを得ない」とは僕は断言できない。

 

だから、ほんの少しだけ思うのだ。スケボー少年たちよ。行き帰りでも滑ってくれ。ストリートを、単なる移動のためのものではなく、自由に遊べる場所に書き換えてくれ。

 

(もちろん、ほんの少しだけ、である。ほんの、ほんの、ほんの少しだけ、そう思うだけである。本当に滑ると、近隣住民たちとの約束により、広場は閉鎖になるのだそうだ)

 

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