鯖缶@3rd&forever

2児の父の雑記ブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターネタ(クレーム対応)などが中心です。

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ドストエフスキー読みが通勤電車で偶然向かい合った話

伊集院光さんの深夜ラジオ(「深夜の馬鹿力」)が好きで、10年ぐらい前からよく聴いている。毎週全部聴くような時期もあれば、忙しい時期には「オープニングのフリートークだけ」という時期もあった。熱心なリスナーとは言えないけど、伊集院さんの「本当の頭の良さを、話芸で必死に隠そうとする繊細な感性」には、リスペクトを通り越して救われる思いがする(←そこまで言うなら毎週3回ずつ聴けばいいものだが、なかなかそうもいかないのが人生です)。

 

投稿ネタのコーナーで、「日常生活をちょっと面白くするためのちょっとマッドな工夫」を集める「暮らしの裏ヒント手帖」というコーナーがある。(公式サイトの、ネタ募集の説明から、1例引用します:「いやなことポイントカード」を作って、日常の生活でいやなことがあったら、そのダメージに応じて1〜3ポイントのスタンプを押してみましょう。何がもらえるわけでもないけど、達成感はあるはずです。

その中で、僕が覚えているネタがある。「電車に乗ったら、座席に座っている人たちを眺めて、ポーカーの役を想像して遊びましょう」みたいなネタ。その実例として、「僕が今までに出会った最高の手は、漫画ゴラクを読んでる女子高生のフォーカードです」というのが最高だった。

(※懺悔:この手のネタを引用するならせめて一言一句たがわずに引用しないと失礼だと自分でも思います。ちょっとした「てにをは」やワードの違いで作品がウケるものにもウケないものにもなるだろうから。うろ覚えで本当にごめんなさい!)

「漫画ゴラク」、ご存知だろうか。東京では毎週金曜日、どのコンビニにも並ぶマンガ雑誌なので、相当メジャーなはず。だけど、オッサン以外は決して手に取らないだろう、ターゲットをストレートに定めた雑誌だ。何しろ連載されてるのは「ヤクザ」「不倫エロ」「エロ」「グルメ」「ギャンブル」「犬」など、疲れたサラリーマンが読むのにストライクな、味の濃い安定したマンガばかり集まった雑誌である。(僕も麻雀マンガの「天牌」を毎週読んでます)

そんな内容の「漫画ゴラク」だから、通勤電車で読むのにはあまり適さない。ましてや女子高生が読むことはないだろう。でも、どのコンビニにも置いてある、非常の手に入りやすい雑誌だから、可能性はゼロとは言えない。だけど、それが4人も並んでたとしたら・・・まさに、エースのフォーカードができるほどの興奮だろう。想像しただけで笑える。

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さて、ここから先は僕の体験談である。

僕は父親になってから、やはりというか、ものすごく保守的なものの感じ方をするようになった。このことは半ば残念で、半ばしょうがない、とも思っている。

「保守的」というとちょっと間違っているかもしれないからより詳しく言うと、「複雑なことを考えるのが面倒になっている」というのが正直なところ。時間と気力、体力に余裕がなくて、「結論の出にくい繊細な議論」に踏み入る余裕がないからだ。

だから、「ヤバい国」のニュースを聞くと短絡的に「滅びろ」と思ってしまうし、「ヤバい犯罪者」のニュースを聞けば、「葬れ」と反射的に思ってしまう。(もちろん、そんなことでいいはずがない。そんな自分の状態には危惧を抱いている。)

これは何も、思想信条の話だけではない。趣味や娯楽でも、なかなか「新しいものに挑戦」という気概が湧いてこない。映画のDVDを借りようとしても、「昔見たことあるもの」とか、「ハズレのないもの」とか、「話題になってたから見ておいて損はないもの」とかに自然とチョイスが寄ってしまう。30代半ばから「NFL観戦」という新しい趣味にハマったが、それも「英語の勉強になるから」という「ヤル気の貧乏性」みたいなチョイスの結果だった。

想像してみてほしい。コールセンターの勤務で客に謝り、上司や部下の機嫌を取り、帰ってきてからは子ども2人の機嫌を取り、子どもが寝てからは妻の機嫌を取り、ようやく寝て、決死の決意で起きた朝4時から6時の貴重な自由時間。その自由時間で、読んだことのない文学作品など読めるだろうか? 面白いかどうかわからないのに? 人生を見つめ直すことを迫られたら、メンタル崩壊するかもしれないのに? そんなの、無理である。

僕は、この気持ちをかつての演劇仲間に説明するのに、「だって、通勤電車でドストエフスキー読まないでしょ」と説明して、そうするとみんなわかってくれた。これから働く人が、読む本ではない。

なんだけど、実際には僕は読んだことがある。自分の楽しみとしてチョイスして読んだのではなく、必要だったのだ。自分が卒業したロシア語劇のサークルを手伝う機会があり(ロシア語の勉強をするために、字幕の指導を引き受けた)、取り上げた戯曲の中で、ドストエフスキーの「白痴」を引用した場面が出てくる。

「翻訳の際に元ネタを知らないと地獄」というのはよくある話で、僕は「白痴」を読まねばならない。学生時代に読んだけど、当然覚えていない。引用された部分は有名なシーン(だから引用される)らしいが、その部分を探すだけで一苦労だ。というか、できれば該当部分ではなく、全体を読み直したほうがベター。・・・そんな時間あるか! となって、「通勤電車でドストエフスキー」をやる羽目になった。

そんな時、奇跡が起きた。

ドア付近に立って「白痴」を読んでいた僕が、車内の混雑を予想してつり革の方に移動する。1つ空いていたつり革を確保し、再び文庫本を開き目を落とす。と、目の端に違和感。車内では誰とも目を合わせないように気をつけてるし、特に女性をガン見しないようい気をつけている僕だが(気をつけないとガン見しちゃいますからね!)、何かに気づいた。グレーのスーツの、ショートヘアの、切れ長の目の女性が、手にしてるのは「悪霊」!!!

ドストエフスキー、通勤電車で読んでる人、いた!しかも、「悪霊」vs「白痴」はシブい。実力では「カラマーゾフの兄弟」、人気では「罪と罰」だよね! そこを敢えて、「悪霊」vs「白痴」。

僕は、7回生まれ変わってもナンパはできない自信がありますが、さすがに3日連続その人と遭遇してたらなにか一言言ったかもしれないです。(実際にはそんなことは起こらず、安心しています)

 

白痴 1 (河出文庫)

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悪霊 1 (光文社古典新訳文庫)

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さて、皆さんも、通勤電車でポーカーの役を探してみてはいかがでしょうか?「ワンペア」「ツーペア」「スリーカード」「ストレート」「フラッシュ」「フルハウス」「フォーカード」「ストレートフラッシュ」の順番。後ろになるほど強いです。
でも、「スーツの男のフォーカード」よりも、「ドストエフスキー読みのワンペア」のほうが強いので、そこは申し訳ありませんがご了承ください。

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www.savacan3rd.com

 

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