鯖缶@3rd&forever

2児の父のエッセイブログです。子育て、英語ネタ、コールセンターあるあるなど。

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アメフトの面白さを、将棋に例えて説明してみる

NFL(アメフト)が6年前ぐらいから好きで、雪だるま式にハマっている。そうすると、NFLの面白さを、ムズムズと伝えたくなる。面白さを伝えるには試合を見てもらえばいい(というか試合を見てもらうしかない)のに、それでも言葉で面白さを伝えたい。

僕は子どもの頃から将棋が好きで、中学から高校にかけては相当指した。将棋部に入ってるわけでもないのに、一日平均2局は指したと思う。ネット将棋が普及する前としては、なかなかコクのある数字だと思う。

将棋好きの人はみんな、心のどこかで「世の中で最高の趣味は将棋」だと思ってる節がある(何のオタクでも似たようなものかもしれませんね)。でも普段、そのことを特に口にすることはない。将棋好きであることに十分満足しているので、あえて自慢したり、アピールしたりする必要がないからだ。

でもある日、僕は会社で油断して、周囲を戸惑わせてしまうことがあった。11人のチームのうち、当日欠勤が2人出ることが分かった。バイトリーダーの僕は、チームのみんなに朝礼で注意点を伝えて、最後に「今日は○○さんと●●さんがお休みで、うちの班は飛車角落ちの状態ですが、いつもどおり張り切っていきましょう。よろしくお願いします!」みたいにあいさつして、チームのメンバーも「お願いします」と返してくれたのだが、なんとなく僕の期待した盛り上がりはない。業務開始後、しばらくして隣の席の後輩に、「飛車角落ちって、なんですか?」と聞かれ、ようやく悟った。「飛車角落ち」って言葉、意味が通じてなかった・・・

(ちなみに飛車角落ちの意味は・・・
① 将棋で、実力に差のある相手に対して、飛車と角行を落として勝負すること。
② 転じて、中心的な戦力となるものを欠いて勝負に臨むこと。 「エースと四番打者の欠場で、-のまま惜敗した」
大辞林より)

(僕は、休んだ2人を「主力メンバー」として、その場にはいないけどちょっと持ち上げたつもりだったのに、通じていなかったのです。トホホ)

 

僕に「飛車角落ち」の意味を聞いてきた後輩は、アニメ、マンガ、小説好きの雑学好きだったので、なんとなく聞いたことのある言葉の意味を知りたくて、聞いてきた。雑学好きの彼に意味が通じないのなら、他のメンバーは言わずもがな、である。

僕は、自らを恥じた。会社の朝礼というのは、「話す人」と「聞く人」があらかじめ決まっている。いわば、「話す人」は、全員から時間を預けられてそれをどう使うか決められる「権力者」の立場にいるわけだ。で、あるならば、権力を使い方には慎重でなければいけない。便宜上、「注意点を伝える」というタスクが僕に託されているだけであって、僕がみんなより偉かったり、優れていたりするわけではない。もし、そう思うのであればそれは大きな勘違いだ。
「会社の朝礼において(つまらないから聞かない、という行為が聞く側に許されない場にも関わらず)、みんなの知らない言葉を使って、自分だけ面白いつもりのことを言う」なんて、まさに愚行である。

さて、そんな自らの愚行を省みながらも、「NFLの面白さを、将棋に例える」という、「まったく話がわかりやすくならない例え話」をしてみたい。

 

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NFLのチームは、登録できる選手の人数が決まっている(53人をチームの選手として契約し、そのうち試合に出られる45人を選ぶ)。「他のスポーツに比べて、かなり多い!」と一瞬思うが、実はそうとも言えない。フィールドに出る選手は11人。アメフトでは、オフェンスの選手はオフェンス専門、ディフェンスの選手はディフェンス専門なので、「先発選手」は22人。キックを蹴る人、パントを蹴る人、キッカーにボールを投げる人、というような専門職も45人の人数に数えるから、実は控え選手は各ポジションに一人ずつ用意できるわけではない、ということ。

それでも、かなり多いんじゃない?とも思えるけど、そうでもない。アメフトの各ポジションは、求められる役割が異なるので、例えばオフェンスのラインマン(クォーターバックの前で城壁になりクォーターバックを守る人)が調子が出ないからといって、ディフェンスのスター選手をオフェンスで起用などは、まずない。

それに、アメフトは大変ケガの多い競技だ。毎試合、必ずと言っていいほど誰かがケガをする。開幕時の先発選手全員がそのままシーズン終盤まで無傷でいるなんてことは、あり得ないのである。

そう考えると、「53人のロースター枠」というのは、各チームに綱渡りのチーム運営を要求する、なかなかエグい人数設定であることが分かる。それに、サラリーキャップがある。選手に払う年棒の上限が決まっているので、どんなに金持ちのチームでも、スター選手を買い集めることができない。

だから、各チームは相当に知恵を絞ってチームを構成するし、そのことを知ってるファンはドラフトを楽しみにする。

2015年のシーズンで、僕の応援するニューイングランドペイトリオッツ(いわば本命チームで、ファンもアンチも多い)は、開幕から10連勝を挙げた。レギュラーシーズン16試合のうちの10連勝だから、第1シード目前である。しかし、ここからチームは2勝4敗と失速する。ケガ人が続出したのだ。

僕は、NFLも将棋も知らない妻に訴えた。「飛車、金、銀、桂、香がペイトリオッツの盤面から神様に取られたんだよ!」「大駒が活躍するよりは、配置と用兵の上手さで小駒を活躍させて勝つスタイルだけど、さすがに厳しいよ」特に迷惑げな表情を見せなかった妻に、僕は続けて訴える。「でも、ある意味、そこが面白いわけよ。シーズン前から、駒を選んで、交換して、対局ごとに相手を研究して矢倉でいくのか、振り飛車でいくのか、さんざん考えて戦法を工夫する。それなのに、ランダムに駒が吹っ飛ばされる」伊集院光さんの深夜ラジオのファンである妻は、突然始まった結論のない例え話に耐性ができてる。僕は続ける。「想像してみてよ。羽生さんと森内さんが早指しで対局してる途中に、ランダムにフィーバータイムが発生して、一部の駒が吹っ飛ぶわけ。そんで、さっきまでの戦術の意味がなくなるんだけど、対局は続けなきゃいけない。次にフィーバータイムがいつ起きるかわかんないから、結局今ある駒でまた戦術を練り直すわけよ」と。

 

僕が言いたかったのは、多分こんなことだ。「最善の準備をしたとしても、それが無意味になってしまう不条理は起こる。でも、だからこそ、そんな不条理をある程度計算に入れて準備をするし、起きた事態にアドリブで対応していくことも求められる」「報われるとは限らない準備を、どれだけできるかを試されるチームを見て、その成否を見守るのはハラハラする」というような。(結局、将棋の例え話はどうなったんだ、と我ながら思います。すみません)

多分、モータースポーツとかでも同じだろう。全然詳しくない僕でも、ピット作業を見るだけで、「ほとんど神業レベルの完璧な準備」を各チームがしてきてることは分かる。でもレースでは、雨が降ったり、他のチームの事故に巻き込まれたり、「計算外」のことが必ず起こる。「自己主張の強いスーパースター的なメンタリティで勝負に臨み、でも全員がチームプレーにて撤しないと勝てない」みたいなところもアメフトと似てる気がする。

 

僕にとっては、「運命の皮肉を、知恵と努力で乗り越えられるか」という図式が、NFL観戦の妙味なんだと思う。

 

さて、ここまで書いておいて、やや不謹慎な書き方をしたかな、という反省もある。まるで選手のケガを楽しむようなことを書いたからだ。その点について、言い訳めいた蛇足を加えておきたい。

僕はファンとして、選手がケガをすることはもちろん喜んでないし、ケガはしないで欲しい。でも、「ケガが避けられないほどの危険いっぱいの肉弾戦」は、正直言うと楽しんでいる。ひいきチームの相手QBがボールを持ってる時にタックルが決まれば、夜中の3時に、(隣の部屋で寝ている子どもを起こさないように気をつけながら)ガッツポーズをしてしまう。

ただし、僕がハラハラするのは、「選手たちが命懸けで戦ってること」であって、「実際に命を落とすこと」ではない。伊集院さんがラジオで言っていたことをパクると、「ハラハラを楽しむためのジェットコースターで、本当に死人が出たら絶対に楽しめない。スリルを味わうためのものこそ、普通よりはるかに厳しい安全基準がないといけない」ということ。(別にアメフトに対しての言及ではなかったのですが、記憶に残っています。うろ覚えなので、細かい部分は違うかもしれません)

「最高に体を鍛えた選手が、ルールと対戦相手を厳しくリスペクトして戦っている。危険と隣り合わせの競技だけど、その過程で起きる不運には、打ち克ちたい」というストーリーを信じさせてくれるからこそ(信じるかどうかはファンとしての勝手な都合ですが)、僕にとってNFL観戦はやめられない娯楽なのだ。

 

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